スペースシフト、「宇宙人探し」に挑戦--衛星データ解析のAI開発技術を活用

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スペースシフト、「宇宙人探し」に挑戦–衛星データ解析のAI開発技術を活用

2024.04.03 08:30

飯塚直

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 スペースシフト(東京都千代田区)は4月2日、衛星データ解析分野で培ってきた人工知能(AI)の開発技術を生かして、「地球外知的生命探査(Search for Extra-Terrestrial Intelligence:SETI)」に挑戦すると発表した。

 スペースシフトは、これまで地球観測衛星から得られるデータの解析を目的としてさまざまなAIを開発。合成開口レーダー(SAR)の地球観測衛星のデータ解析技術については、元データとなる電波の波形そのものから変化を検知するAIを開発している。

 今回、こうした電波の解析技術をSETIの分野に応用する。SETIの中で検知したい信号は、観測データでの突出した信号や現在地球上から宇宙に放出されている信号に類似したパターンだという。

 使用するデータは、世界各国で運用されている電波望遠鏡の公開データを利用し、AIに天体由来の信号や観測ノイズ、地球からの人為的な信号など、さまざまな要素を学習させ、これまで発見できなかった地球外知的生命からの信号を見つけていく。

 こうしたAIを使った取り組みは、2018年頃から進められているが、AIの専門家を多数擁する同社の強みを生かし、より高度なAIによる検知を目指すという。

 今回の活動は、熊本大学教授の高橋慶太郎氏の協力を得て実施。現在、同氏の研究室では「宇宙から地球を見たときに、どのような人為的な信号が観測されるのか」などを実際の電波望遠鏡を活用して検証している。

 同社は、これらの観測結果や検証結果を学習させたAIを開発することで、これまでは見逃されてきた信号パターンを検知できるようになり、SAR衛星データを活用して従来の画像化処理を経ない物体検知技術である「RAWデータ解析」のアイデアの応用などを現在計画している。

スペースシフトのSETIでの取り組みイメージ(出典:スペースシフト)
スペースシフトのSETIでの取り組みイメージ(出典:スペースシフト)

 現在、SETIは、「SETIプロジェクト」など主に電磁波を利用した通信の監視、遠方にある系外惑星の大気分析、火星探査機など太陽系内での生命の兆候を探す探査ミッションを通じて進められている。

 SETIは、地球外の知的生命体からの信号を探索し、捕捉することを目的とした科学的な取り組みと説明する。SETIの研究は、人類が宇宙における自身の位置と宇宙の生命についての理解を深めるための画期的かつ野心的な試みとされ、高度な技術と科学的手法を駆使して、地球外知的生命が発する可能性のある信号や通信を地球上で検出することを試みている。

 SETIでは、電磁波を利用した通信の監視に焦点を当てており、使用するのは地球上や宇宙に設置された、宇宙空間からの電磁波を捉える一連の望遠鏡や受信機を使用している。

 得れられた、さまざまな周波数帯のデータは、地球外知的生命が使用するかもしれない電波や光信号を含む可能性を有しており、SETIでは、そこに生命由来の信号が含まれていないかを検知するのが一般的な手法とされている。

 これまでの代表的な取り組みとしては、1999~2020年に分散コンピューティングを活用した「SETI@home」。兵庫県立西はりま天文台での光学観測による取り組みなどがある。

(出典:スペースシフト)
(出典:スペースシフト)

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スペースシフトプレスリリース

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