インターステラ、小型衛星ロケット「ZERO」用ターボポンプの冷走試験に成功

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インターステラ、小型衛星ロケット「ZERO」用ターボポンプの冷走試験に成功

2024.03.14 16:29

UchuBizスタッフ

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 インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は小型衛星打ち上げロケット「ZERO」のエンジン「COSMOS」用ターボポンプの冷走試験に成功した。IHIエアロスペース相生試験場(兵庫県相生市)で試験した。3月14日に発表した。

 ターボポンプは燃焼器に燃料と酸化剤を送る心臓部であり、ロケットエンジンの中でも最も開発が難しい要素の一つと言われている。今回の冷走試験では、ターボポンプが目標の回転数で良好に動作していることを確認した。ZERO初号機打ち上げに向けて大きな開発マイルストーンを達成したとしている。

 COSMOS用ターボポンプは、燃料ポンプと酸化剤ポンプを一体化させた「一軸式」となっている。燃料と酸化剤それぞれでポンプを分ける場合と比べて技術的な難度が高い一方、エンジンシステム全体の小型化、軽量化や部品点数の削減による低コスト化につながるという。

COSMOS用ターボポンプ(出典:インターステラ)
COSMOS用ターボポンプ(出典:インターステラ)

 ターボポンプの材質には、耐熱性に優れたというニッケル合金(一部にチタン合金とアルミ合金)を使用。今回は60kN級エンジン用のサブスケールモデル(長さ42cm、直径19cm)で試験した。目標である1分間に4万という回転数を達成した。冷走試験は4月まで続けて、作動条件を変えた時の性能などを取得する。

 ターボポンプの設計は、日本の基幹ロケット用エンジンの開発で豊富な経験と実績があるという室蘭工業大学との共同研究として2019年から開始。2021年9月にポンプ製造国内最大手の荏原製作所が加わり、3者で共同研究開発を進めてきた。

 開発難度が高いというターボポンプは設計、製造、試験のすべての過程で国内の知見を取り入れてきており、今後は得られた知見を最大限に活用し、実機モデルとなる130kN級エンジンを開発していくとしている。

COSMOS用ターボポンプの働き(出典:インターステラ)
COSMOS用ターボポンプの働き(出典:インターステラ)

 ZEROは推進剤として燃料に液化バイオメタン、酸化剤に液体酸素を使用する液体ロケット。ZEROのエンジンは「ガスジェネレーター」で発生させたガスの力で「ターボポンプ」を駆動し、タービンを高速回転させることで燃焼器に推進剤を高圧で送り込む「ガスジェネレーターサイクル」を初めて採用。燃料を燃焼器を冷やすことにも活用する「再生冷却方式」も取り入れている。

 これまでにガスジェネレーター燃焼器タンク圧力、ターボポンプ、それぞれの単体試験を行っており、今後はエンジン統合試験へと進む予定としている。

 エンジンの名称は、同社がある大樹町の花がコスモスであること、エンジンの特徴であるピントル型インジェクターの噴射形状がコスモスの花びらに似ていることからCOSMOSと名付けている。

COSMOS内部での流れ(出典:インターステラ)
COSMOS内部での流れ(出典:インターステラ)

 インターステラは、民間単独で国内初となる宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」で獲得した知見をベースに、ZEROの開発を進めている。

 ZEROによる打ち上げサービスは、一気通貫の開発製造体制にすることで1機あたりの打ち上げ費用が量産時で8億円以下という「競争力のある価格」と、多様化する衛星のビジネスモデルにあわせて専用に打ち上げる「柔軟性」が強みと主張。国内やアジアオセアニア地域の衛星事業者に対しては発射場が近く、打ち上げまでの手間やコストがかからない「利便性」も価値になるとしている。

 ZEROが狙う小型衛星の重量は100~200kg級がボリュームゾーンだが、地球低軌道(LEO)に最大800kgを打ち上げられることを視野に入れている。日本国内での自立的な打ち上げサービスを構築するとともにアジアオセアニアや欧州でのポジションを確立することを考えている。

冷走試験の風景(出典:インターステラ)
冷走試験の風景(出典:インターステラ)

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インターステラプレスリリース

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