インターステラ、小型ロケット「ZERO」の推進剤タンク圧力試験に成功

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インターステラ、小型ロケット「ZERO」の推進剤タンク圧力試験に成功

2023.12.19 15:26

飯塚直

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 インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は12月19日、大樹町にある構造試験棟で、小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」の推進剤タンク圧力試験に成功したと発表した。

 同社は、燃料の液化バイオメタンと酸化剤の液体酸素を入れる推進剤タンクを自社ですべて設計。タンクの材質には、強度が高い一方で高度な溶接技術が求められるアルミ合金(A2219)を採用。溶接から試験までの主要な工程を自社でまかなっている。

 今回製造したのは、ロケット2段目用タンクのサブスケールモデル(幅1700mm、高さ1731.5mm、厚さ3.5mm)で、設計した圧力に耐えうることを確認する「耐圧・保証試験」「破壊圧試験」、どこまでの圧力に耐えられるかをみる「破壊試験」を実施した。

2段目用タンクのサブスケールモデル(出典:インターステラ)
2段目用タンクのサブスケールモデル(出典:インターステラ)

 今回の試験では、推進剤タンクが設計通りの強度を有していることを確認。強度や破壊モードなど、各種データを取得したという。今後は、試験で得られたデータをもとに実機モデルの開発や製造を推進していく。

 ZEROは、近年の市場拡大を牽引している小型サイズの衛星をターゲットにした小型ロケット。民間単独では国内初となる宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」で得られた知見を土台に、ZERO初号機打ち上げを目指して開発を進めている。

ZEROの主要コンポーネント(出典:インターステラ)
ZEROの主要コンポーネント(出典:インターステラ)

 ZEROで提供する宇宙輸送サービスは、一気通貫の開発製造体制で実現する、量産時に1機あたり打ち上げ費用8億円以下という「競争力のある価格」と、多様化する衛星のビジネスモデルにあわせて専用に打ち上げる「柔軟性」が強みになると説明する。

 国内やアジアオセアニア諸国の衛星事業者に対しては発射場が近く、打ち上げまでの手間やコストがかからない「利便性」も提供価値として付与していくという。

 ZEROが対象とする小型衛星の重量は、100~200kg級がボリュームゾーンと説明。昨今のトレンドを見据え、国内をはじめ海外の需要も取り込んでいくため、搭載可能な衛星重量を地球低軌道(LEO)に最大800kgを打ち上げられるロケットに能力増強を図っていく。

(出典:インターステラ)
(出典:インターステラ)

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インターステラプレスリリース

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