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「すべてが大きな障害」NASAの火星サンプルリターン計画に内部から疑問の声
2024.03.05 07:30
米航空宇宙局(NASA)の監察総監室(Office of Inspector General:OIG)は、火星から試料を地球に持ち帰る(サンプルリターン)計画「Mars Sample Returen(MSR)」について、是正措置計画の策定を求めている。
MSRでは探査車(ローバー)「Perseverance」で集めた火星のサンプルを着陸機と上昇機で打ち上げる。火星を周回する探査機(オービター)とドッキングし、地球へと持ち帰る計画だ。2023年11月にはMSRの予算が膨張していることを理由に、ミッションに関する作業の縮小が報じられた。
OIGは報告書の中で、MSRプログラムの設計、コスト、スケジュールのすべてが大きな障害となっていると述べた。具体的にはMSRの「Capture Containment and Return System(CCRS)」におけるアーキテクチャやスケジュールの問題から予算に約2億ドル(約300億円)が追加され、スケジュールが1年分失われたという。
報告書はまた、NASAと欧州宇宙機関(ESA)の間の調整を強化するよう提言している。これにはCCRSの設計の確定、プログラムの複雑さをコストとスケジュールに見込むこと、大規模ミッションの事前策定ガイダンスの再評価などが含まれている。NASA上層部は、報告書に部分的に同意しているという。