南極の昭和基地から「Starlink」で8K映像のリアルタイム伝送に成功

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南極の昭和基地から「Starlink」で8K映像のリアルタイム伝送に成功

2024.02.27 13:14

飯塚直

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 KDDI総合研究所と大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所(極地研)は南極の昭和基地とKDDI総研本社の間でSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Starlink」で8K映像のリアルタイム伝送の実証実験に成功した。KDDIが2月26日に発表した。

昭和基地周辺から8K映像を伝送する観測隊員(出典:KDDI)
昭和基地周辺から8K映像を伝送する観測隊員(出典:KDDI)

 南極には、通年観測を続けている基地(越冬基地)だけでも約40カ所あり、気象や大気、雪氷、地質、生物、海洋、宇宙物理など、さまざまな観測、研究が行われている。

 昭和基地には、2004年に衛星通信設備としてIntelsatが設置され、観測データを常時国内に伝送して研究の進展や隊員の福利厚生の充実化を目的に運用されてきた。国内の小中高校をはじめ、海外の学校や一般への情報発信などにも活用されている。

 当初は1Mbps程度の通信速度だったが、2022年11月に最大7Mbpsまで増速され、活用の幅が一段と広くなっていると説明。2004年からIntelsatで映像を伝送してきたが、これまでの映像品質はHDTV(1920×1080、2K)が上限だった。

 こうした背景から、昭和基地と国内の病院を衛星回線でつないだ遠隔医療支援、離れて暮らす家族との顔が見えるコミュニケーションでより高精細な映像が求められていた。教育目的の情報発信ニーズの高まりからも、さらなる映像品質の向上が求められていると解説する。

8K映像伝送システムの構成概念図(出典:KDDI)
8K映像伝送システムの構成概念図(出典:KDDI)

 そこで、KDDI総合研究所と極地研は、2022年11月11日にIntelsatを活用した実証実験を実施。南極域として世界で初めての8K映像リアルタイム伝送を成功させた。

 Intelsat用アンテナがある昭和基地周辺だけでなく、離れたところに観測に行った際もすぐに連絡が取れる、気象情報がタイムリーに受け取れるなど、隊員の南極地域観測業務の安全とデジタル化につながる技術進化が期待されている。

映像品質比較。(左から)8K、2K(出典:KDDI)
映像品質比較。(左から)8K、2K(出典:KDDI)

 今回、Starlinkを活用した技術実証を2024年2月13日に実施した。

 今回の実証では、昭和基地での映像伝送機器を利用するために検証するとともに受信映像品質も検証した。高精細映像をStarlinkで効率よく伝送するための送信帯域制御技術とパケットロス補正技術も検証した。

 具体的には、昭和基地でKDDI総合研究所が開発した8K映像のリアルタイム伝送が可能な遠隔作業支援システム「VistaFinder Mx」を搭載した8K動画撮影対応スマートフォンを活用。同スマートフォンで撮影、圧縮し、衛星通信回線を通じて伝送した。

 その映像を、KDDI総合研究所に設置した受信システムで受信、伸長し、8K映像としてモニター表示するとともに、安定した映像品質を維持できることを確認したという。

 今後は、南極大陸の自然観測や昭和基地から離れた場所での観測隊員と国内担当者とのリアルタイムコミュニケーションに基づく作業効率化など、さまざまな利用が期待できるという。

 極地研では、Starlinkによる広帯域低遅延の通信回線を生かし、これまで以上に高度な昭和基地観測への利用を進めると同時に、南北両極での観測のほか、全球的な観測に活用。現地隊員の負担を軽減しながら、国際的な連携観測のほか、宇宙飛翔体観測との連携の可能性を広げて行く計画だという。

設置されたStarlinkアンテナ(出典:KDDI)
設置されたStarlinkアンテナ(出典:KDDI)

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KDDIプレスリリース

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