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ElevationSpace、宇宙ビジネス参入を検討する企業向けにセミナー開催
2024.02.15 17:00
ElevationSpace(仙台市青葉区)は2月15日、宇宙ビジネスへの新規参入を予定、検討している企業向けにセミナー「最新宇宙情報講座 Season1」を開講すると発表した。Season1は全4回で構成される。ウェブから申し込める。
宇宙関連市場は、Bank of Americaの試算によると、2030年までにグローバルで150兆円規模になると言われており、国内でも2023年6月に改定された「宇宙基本計画」で宇宙機器と宇宙ソリューションを合計した宇宙産業市場規模を2030年代の早期に8兆円に拡大することが目標として掲げられている。国内では10年で1兆円規模の宇宙戦略基金設置など、国を挙げて宇宙関連市場を拡大させる姿勢が明確に打ち出されている。
同社は、宇宙ビジネス参入を新たに検討する企業から「宇宙ビジネスへの参入に関心はあるものの、どのように参入すればよいか分からない」「自社の既存事業とのシナジーを見込める領域がどこにあるのか分からない」といった声があり、こうした声に応えるため、「宇宙ビジネスに関する法人研修サービス」を2023年7月から提供している。
すでに宇宙参入を果たしている企業から、宇宙参入を検討している企業まで、日本中の民間企業を集めて学びの場を提供し、会員限定のコミュニティーを形成。コミュニティーに参加する企業は112社で、全国各地での展開を予定する。宇宙ビジネス研修サービスで社内セミナーを開催した企業数は12社、エンジニアを交えた共創事業(技術コンサルティングを含む)件数は30件を超えているという。
今回開講する講座は、同社に寄せられた「これが知りたい」という声の多かったトピックを厳選しているという。コンサルティング会社ではなく、実際に宇宙機を開発、製造するメーカーが企画、監修する講座の開講は国内初としている。
第1回は3月7日に開催。「宇宙材料実験の展望」「宇宙法について」を予定している。
「宇宙材料実験の展望」では、地球低軌道や月面での使用に耐える材料のほか、宇宙実証前に具体的な地上試験や評価の方法を解説する。神戸大学 大学院 工学研究科 准教授 田川雅人氏、九州工業大学 大学院 工学研究院 准教授 岩田稔氏が講師を務める。
「宇宙法について」では、地球上での常識が通じない宇宙法について、宇宙法の考え方と、損害賠償請求権を互いにあらかじめ放棄しておくことを定めた“クロスウェーバー”条項などに代表される基本的な運用などを解説する。TMI総合法律事務所 パートナー弁護士 新谷美保子氏(一般社団法人スペースポートジャパン 設立理事)が説明する。
第2回は5月17日。「Post-ISSのゆくえ」「宇宙保険について」を予定している。
「Post-ISSのゆくえ」では、2030年に退役が予定されている国際宇宙ステーション(ISS)とその後を担う商業宇宙ステーションの展望、ISSに接続されている日本実験棟「きぼう」の後継になる日本モジュール構想などを解説する。
「宇宙保険について」では、リスクが比較的大きい宇宙開発では、一般の損害保険とは異なる「宇宙保険」が活用されているが、宇宙保険の成り立ちとその仕組み、基本的な考え方などを解説する。
第3回は6月28日。「宇宙事業者CTOによる対談」「宇宙と安全保障」を予定している。
「宇宙事業者CTOによる対談」では、宇宙事業者の最高技術責任者(CTO)が登壇して、業界や自社の課題、その解決策、苦労していること、民間企業に求めることなど宇宙スタートアップの実態を垣間見られるという。
「宇宙と安全保障」では、最近話題になっている宇宙での安全保障について運用思想と具体的な技術などを解説している予定。
第4回は7月26日。「宇宙建築」「宇宙専任部署担当者様によるパネルセッション」「JAXA標準文書に関するレクチャー」を予定している。
「宇宙建築」では、地球軌道上や月面で必要になっている宇宙建築について、どんな技術や材料が必要で、どのようにして組み立てるのか、第一人者が語るという。
「宇宙専任部署担当者様によるパネルセッション」では、2023年に各社で見られた「宇宙専任部署」が立ち上げられたが、その実務担当者が専任部署の経緯や苦労話、自社と宇宙との接点をどう捉えたかについて赤裸々に語られるという。
「JAXA標準文書に関するレクチャー」では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の安全・信頼性推進部が公開、管理している(衛星や探査機といった)宇宙機やロケットの開発で活用されている技術標準である「JAXA Engineering Requirement, Guideline(JERG)」「JAXA Management Requirement(JMR)」などが解説される予定。JERGやJMRなどの基準と運用、考え方はどういったものであるのか、宇宙事業者が宇宙機を設計、開発する上で部品メーカーに求めることなどが解説される予定。
第1回、第2回、第3回に予定されている「ElevationSpace技術講座」では、同社が考える衛星の再突入技術、安全化技術や推進技術、再利用技術を解説。小型人工衛星については同社の共同創業者で取締役を務める桒原聡文(くわはら・としのり)氏が、大気圏再突入については同社の最高技術責任者(CTO)である藤田和央(ふじた・かずひさ)氏が登壇する。
開催時間は午後3時30分~8時。申込締切は3月7日午後5時。税込受講費は2万円。会場は東京都中央区日本橋「X-NIHONBASHI TOWER」。定員は、会場参加が50人、オンライン参加が300人(先着順)。
ElevationSpaceは、東北大学発の宇宙スタートアップ企業。東北大学吉田・桒原研究室でこれまで開発してきた15機以上の小型人工衛星の知見や技術を生かし、無重力環境による実験や実証などを無人の小型衛星で実施、地球に帰還させて顧客へと返す宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」を開発している。