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宇宙から5G、クアルコムら3社が取り組み発表—「スマホが事実上の衛星電話に」

2022.07.12 10:30

小口貴宏(編集部)

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 クアルコム(Qalcomm)、エリクソン(Ericsson)、タレス(Thales)の3社は、地球低軌道を周回する人工衛星から地球上に5Gの電波を飛ばす「5G NTN」の取り組みを開始した。実現すれば、全地球上で5Gが利用可能になり、5Gスマートフォンが事実上の衛星電話になるとしている。

 「5G NTN」は人工衛星を利用した5Gの非地上系ネットワークを指す。これを用いることで、現在はレガシーな衛星通信しか利用できない未開発地域や海洋などにおいて、5Gの広帯域通信サービスを低コストで提供できる。また、大規模災害時における地上ネットワークのバックアップ用途も期待できるとしている。

  今回の取り組みは移動通信の標準化団体である3GPPの認可を受けている。3社の役割としては、エリクソンが人工衛星を経由して伝搬する電波を処理するvRANスタックを検証する。また、クアルコムが5G NTNをテストできる試験用携帯電話を提供する。フランスの航空宇宙企業タレスは、地球低軌道への投入に適した5G無線衛星のペイロードを検証する。

 宇宙から5Gネットワークを携帯電話に直接届ける取り組みは、米国のAST Space Mobileも実施しており、同社は最初の試験衛星を2022年夏に打ち上げると明らかにしている。

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