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JAMSS、米アクシオム商業宇宙飛行第3弾の宇宙飛行士に「きぼう」での訓練を提供
2024.01.26 09:15
有人宇宙システム(JAMSS、東京都千代田区)は1月25日、米Axiom Spaceによる3回目の商業宇宙飛行「Axiom Mission 3」(Ax-3)でミッションに搭乗した宇宙飛行士に国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟(JEM)「きぼう」での訓練を提供したと発表した。
Axiom Spaceは2016年設立の民間企業。ISS退役後に活躍が予想される民間宇宙ステーションの開発に向け、現在はISSへの民間宇宙飛行士ミッションを主導している。
Ax-3は日本時間1月19日午前6時49分に米フロリダ州ケネディ宇宙センターからISSに向けて打ち上げられた。
JAMSSは、Axiom Spaceの国際パートナーとして訓練を提供。今回の訓練は、2022年4月に打ち上げた「Axiom Mission 1」(Ax-1)、2022年5月に打ち上げた「Axiom Mission 2」(Ax-2)に続いて3回目となる。
Axiom Spaceによる商業宇宙飛行ミッションは、宇宙旅行だけでなく、数多くの実験をこなすため、必要に応じて新たに訓練メニューを作ることも求められている。
Ax-1では、25件以上の実験に加えて、さまざまな機関から募集した実験をISSで実施。その中には、JAMSSと東京理科大学、東京農工大学が共同研究契約を締結して開発を進めた「光触媒空気浄化装置」の技術実証も含まれる。
Ax-2では20件以上の実験を実施。Ax-3でも、民間宇宙飛行士によるさまざまな実験や活動が予定されている。
JAMSSは、Ax-3に搭乗した宇宙飛行士(バックアップを含む)5人に「きぼう」の基本機能や緊急避難時の対応に関する訓練を実施したという。
今後宇宙旅行の市場が拡大し、商業宇宙ステーションの時代が到来する頃には、訓練の需要が高まるとJAMSSは予想。そこで、長年の宇宙飛行訓練の経験に基づき、民間宇宙飛行士や宇宙旅行者へ効果的な訓練の提供を目指すとしている。
JAMSSに宇宙飛行士訓練インストラクターは約20人在籍。計280人以上の国内外の宇宙飛行士に訓練を提供し、これまでに提供した訓練数は1万9000以上に上るという。
JAMSSは「きぼう」を運用している民間企業。1990年に創立。日本が開発した無人の物資補給機「H-II Transfer Vehicle(HTV)」(愛称は「こうのとり」)も運用していた。宇宙飛行士や管制要員の訓練、宇宙実験の実施にも携わっている。