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インド「チャンドラヤーン3号」推進モジュール、月周回軌道から地球周回軌道に再投入
2023.12.12 15:27
インド宇宙研究機関(ISRO)は、月面探査ミッション「Chandrayaan-3」(チャンドラヤーン3号)の探査機を月へ着陸させるために使用した推進モジュールを月周回軌道から離脱させて地球周回軌道へ再投入した。
チャンドラヤーン3号は、月面着陸が目的の探査ミッション。7月14日に打ち上げられた探査機は、8月23日に月の南極付近へ着陸した。月面着陸の成功は、米国、旧ソ連、中国に次ぐ4カ国目。月の南極付近への着陸は世界初である。
着陸後、着陸船(ランダー)「Vikram」と探査車(ローバー)「Pragyan」の観測機器で2週間の探査活動を実施。南極付近の地表面温度の直接観測に成功したほか、硫黄の発見、月の地震(月震)の観測など、多くの実績を残し、ミッションの目的をすべて終えた。
推進モジュールの主な役割は、月着陸の軌道へ探査機を投入すること。投入後は、月を周回しながら分光偏光計測器「Spectro-polarimetry of HAbitable Planet Earth(SHAPE)」で地球を観測してきた。
ロケット「LVM3」による打ち上げや地球から月への軌道遷移の精度が高かったため、SHAPEの運用予定期間である約3カ月をさらに1カ月過ぎた時点でも、推進モジュールには100kg以上の燃料が残った状態だった。
そこで、残った燃料を使って推進モジュールを地球周回軌道へ再投入し、今後の月探査ミッションで活用可能な情報を追加取得するとともに、サンプルリターンミッションの運用計画を実証することにした。
高度150kmで月を周回していた推進モジュールは、10月9日エンジンを燃焼させて軌道を変え、13日に再びエンジン燃焼で地球遷移軌道へ入り、4回の月フライバイを行って11月10日に月の作用圏から離脱した。そして、11月22日に高度15万4000kmを近地点とする地球周回軌道に入り、13日弱の周期で地球の周囲を回っている。
SHAPEは正常に機能しており、今後も地球の観測を続ける。
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ISRO発表