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衛星データ基盤「Tellus」、海面水温などの準リアルタイムプロダクトを無料公開
2022.06.24 08:00
さくらインターネット(大阪市北区)は6月23日、同社が経済産業省事業として開発、運用する衛星データプラットフォーム「Tellus」で「海面水温」「クロロフィルa濃度」「懸濁物質濃度」の準リアルタイムプロダクトと8日間の時間統計量データを無料で公開すると発表した。
同データは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の気候変動観測衛星「しきさい」(Global Change Observation Mission-Cimate 1:GCOM-C)で取得されたもの。GCOM-Cは、地球温暖化などの気候変動の影響を長期的に調べるため、2017年に打ち上げられた地球観測衛星。
近紫外から熱赤外域(380nm~12μm)の複数の波長域で観測する光学センサーである「多波長光学放射計」(Second Generation GLobal Imager:SGLI)を搭載しており、雲やエアロゾル(大気中のチリ)、海色、植生、雪氷などが観測可能。観測データは、JAXAのウェブサイト「G-Portal」などから提供されている。
海上の水面の温度データとなる海面水温は、海面の温度を観測することで暖流や寒流などの境目(潮目)などの状況を把握できるようになる。
海面に分布する植物性プランクトンなどに含まれる光合成色素であるクロロフィルa濃度は、濃度が濃いほど、海面に植物性プランクトンが多く分布していることが分かるようになっている。
プランクトンなどの有機物と土壌などの無機物による微粒子の単位水あたりの濃度である懸濁物質濃度についても、濃さによって分布が確認できる。
これらのデータは、海洋上の気候変動の影響を把握し、漁業などへの利用が期待されている。また、海面水温とクロロフィルa濃度については、これまでアーカイブデータをTellusで公開していた。
今回、撮像後最短約70分で公開される準リアルタイムプロダクトと、8日間の観測データから雲などを除去し平均値を算出した時間統計量データにより、リアルタイムに近い海水の状況を把握できるようになった。
準リアルタイムプロダクトは、これまでJAXAから一部研究者へ限定的に提供されていたが、個人含め一般向けに閲覧可能な環境で提供されるのはTellusが初めてとなる。