「ハイパースペクトル」衛星Kuva Space、1660万ユーロ調達--識別できる物質の種類が増加

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「ハイパースペクトル」衛星Kuva Space、1660万ユーロ調達–識別できる物質の種類が増加

2023.11.08 16:10

佐藤信彦

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 「ハイパースペクトル」衛星コンステレーションの構築を目指すフィンランドKuva Spaceは、1660万ユーロ(約26億7000万円)の資金調達に成功した。

 ハイパースペクトル衛星とは、従来の光学衛星よりも細かな波長分解能で地球を観測できる人工衛星。計測しない波長帯が多い従来のマルチスペクトルと異なり、広範囲の波長帯で欠損なく連続的なデータが取得できる。そのため、宇宙空間から識別できる物質の種類が多くなるとして注目されている。

 Kuva Spaceは、小型のハイパースペクトル衛星でコンステレーションを構築し、より詳細な商用地球観測サービスの提供を目指している。得られた観測データを人工知能(AI)で解析すると、地表のあらゆる物質がどのような状態にあるか調べられるという。こうした情報は、農業や鉱業、海洋調査などで活用可能だ(日本の経済産業省は「ハイパースペクトルセンサ(Hyperspectral Imager SUIte:HISUI)」で取得したデータを一般公開している)。

得られた情報はさまざまな分野で活用可能という(出典:Kuva Space)
得られた情報はさまざまな分野で活用可能という(出典:Kuva Space)

 すでに3機の衛星を運用中で、2024年に2機の衛星を打ち上げてサービスを開始する予定。2030年までに最大100機体制へ増強する計画。

2030年までに最大100機体制へ(出典:Kuva Space)
2030年までに最大100機体制へ(出典:Kuva Space)

 SpaceNewsの報道によると、観測データの空間解像度は10m以下。観測対象エリアの観測頻度は、2026年時点で1日1回、2030年時点で1日3回になるとみられている。

 今回調達した資金は、観測用カメラや衛星の開発、人員の追加、AI解析プラットフォームの実現などに利用する。

衛星コンステレーションで地球を観測(出典:Kuva Space/YouTube)

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Kuva Spaceプレスリリース

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