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衛星データ基盤「Tellus」に「HISUI」データ–従来より詳細に物質を識別
2022.10.13 08:00
経済産業省は10月12日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して、宇宙実証用「ハイパースペクトルセンサ(Hyperspectral Imager SUIte:HISUI)」で取得した衛星データを衛星データプラットフォーム「Tellus」に搭載し、一般公開を開始したと発表した。
同省が一般財団法人の宇宙システム開発利用推進機構(J-spacesystems)とともに開発したHISUIは、JAXAとの連携協定のもと、2019年12月に国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに設置。2020年9月から地球観測画像データを取得している。
船外実験プラットフォームは、さまざまな機器や技術の宇宙実証や地球観測の場として活用されているが、HISUIもセンサーの有用性実証を目的に設置されている。
HISUIの画像データは「ハイパースペクトル」データと呼ばれており、可視近赤外から短波長赤外までの波長帯を、185バンドで10nmあるいは12.5nmの細かい波長分解能でカバーし、従来の光学センサーより詳細に物質の識別が可能という。
計測していない波長帯が多い従来のマルチスペクトルと異なり、広範囲の波長帯で欠損なく連続的なデータとなっているため、対象物の性質や物性の情報を詳細に把握できるのが特徴としている。
例えば、宇宙空間から識別できる鉱物の種類が10種類から30種類に増えるなど、石油資源や鉱床の遠隔探知能力の向上につながることが期待されている。石油や鉱物以外にも、環境分野、農林水産分野、防災分野など、さまざまな分野への活用が期待されているという。
経産省では現在、衛星データ利用ビジネスへの参入支援を目的として、「衛星データ無料利用事業者の公募」を実施している。これは、Tellusに搭載されている衛星データのうち、通常は有料の商用衛星データとデータの解析環境を250件程度の選定者へと無料で提供するプログラムとなっている。