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ElevationSpace、デンソーからの出向を受け入れ–外部との人材交流も開始
2023.11.07 15:07
ElevationSpace(仙台市青葉区)は11月7日、デンソーからビジネス人材1人の出向受け入れを11月から開始したと発表した。
デンソーでは、新たな価値や事業創造を実現するリーダーを育成するための制度として「社外修行トレーニー」を2022年度に開始。ElevationSpaceは派遣先企業の1社になっているという。
今回、社外修行トレーニーを活用し、ElevationSpaceへの出向を希望したデンソー社員を研修出向として1年間受け入れることを決定した。出向期間中は最高執行責任者(COO)である宮丸和成氏の直下で事業企画や事業開発業務を担当するという。
ElevationSpaceは、大きな裁量権を持って業務を遂行できるスタートアップならではの環境を提供。従来とはまったく異なる事業や業務を経験することで新たな価値や事業創造を実現するリーダーとしての人材育成を目指す。
ElevationSpaceは同時に、異業種企業や大学、研究機関などと人事交流する「Elevate Space Career Program」を開始。人材育成の観点で、スタートアップエコシステム発展と宇宙産業のすそ野拡大を目指すとしている。
Elevate Space Career Programでは、今回の出向受け入れを皮切りに、異業種企業や大学、研究機関などと人事交流して、さまざまな機関との人材面での連携を狙うという。
ElevationSpaceによると、大企業からスタートアップへ社員を出向させ、次世代の幹部人材を育成する動きは2018年頃から活発化していると説明。スタートアップ出向を専門とする人材紹介会社やマッチングサービスも登場するなど、オープンイノベーションの仕掛けとしても注目されている。
出向元にとっては、イノベーションの最前線にあるスタートアップで、広い責任範囲で業務を遂行する経験を積ませることができ、視野を広げ、主体的に課題解決に挑む人材の育成を図ることが可能と解説。人材を受け入れるスタートアップにとっては、外部人材の視点で経営や事業の課題を解決し、異業種企業とのネットワーク構築や協業可能性につなげられるメリットがあるとしている。
出向者自身も、大企業を退職するリスクを取らずに新たな環境でチャレンジでき、良質な成長機会の獲得、キャリアの多様化や独自化を実現できるという。
現在、地球を周回する低軌道でのさまざまな研究活動は、国際宇宙ステーション(ISS)を利用している。ただし、ISSは2030年に運用終了となる見通しであり、宇宙利用環境が失われかねない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はISS退役後を見据え、検討に参加する企業などを募った。
ElevationSpaceは、こうした状況に応え、ISSに代わる小型宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」を開発している。ELS-R初号機の愛称は「あおば」(AOBA)。ELS-Rシリーズの初号機(技術実証機)である「あおば」は、これまで「ELS-R100」と呼称されていた。
打ち上げは2025年を予定しており、人工衛星の開発技術に加え、宇宙に打ち上げた小型衛星を制御して地球に帰還させることを実現するために「軌道離脱」「大気圏再突入」「回収」といった技術の実証を目的としている。
重量は約200kg、大きさは約1m四方。地球低軌道上で約半年間の実証・実験を行った後、回収ペイロードを搭載した再突入カプセルが地球に帰還、海上での回収を予定する。2025年の打ち上げを予定している「あおば」に搭載される貨物(ペイロード)は積載可能上限に達しており、搭載枠の販売はすでに終了している。