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ソフトバンク、成層圏からの5G通信試験に成功

2023.10.19 12:46

飯塚直

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 ソフトバンクは10月17日、成層圏通信プラットフォーム「High Altitude Platform Station」(HAPS)の研究開発の一環として、成層圏の基地局から地上のスマートフォンに対して5G通信の提供に成功したと発表した。

 同試験は、同社とルワンダ政府が協力して実施した。両者は6月に今回使用したペイロードと同様の大きさと重量のダミー機器を搭載した成層圏飛行試験を実施しており、同試験はそれを発展させたものとなる。

 なお、HAPSの無人航空機を活用しての成層圏からの5G通信試験の成功は世界初だという。同社が開発したペイロードは、成層圏の高度最大16.9kmにおいて、約73分間連続して5Gの通信を提供。厳しい条件下においても、想定通りの性能を発揮したという。

 同試験では、一般に販売されている5G対応スマートフォンを使用し、通常の通信で利用されている電波を利用。ルワンダの試験場と日本の間で5Gによるビデオ通話(Zoom)を実現した。

 また、同試験は、2020年7月に同社子会社であったHAPSモバイル(当時:2023年10月1日付でソフトバンクに吸収合併)とルワンダのICTイノベーション省との間で締結された覚書に基づき実施された。

 ルワンダとその他の地域でのモバイルインターネット接続の提供や、その他の課題解決に向けて、HAPSの利用を研究する共同プロジェクトでも協力しているという。

 加えて、同社とルワンダ教育省は2023年6月に、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network:NTN)ソリューションを活用し、ルワンダで教育技術(EdTech)サービスを提供する連携協定も締結している。

 同試験の結果を受け、両者は、ルワンダなどのアフリカ地域におけるHAPSの活用の可能性と、商用化に向けた研究に取り組む予定だ。

 その他、通信環境が整っていない農村地域の学校やコミュニティーのデジタル化なども検討するとしている。

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