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中国軍、宇宙状況把握(SSA)の新基地設置–米シンクタンクが報告

2023.09.19 10:56

塚本直樹

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 中国人民解放軍が宇宙領域把握のために新たな基地を設置した。米空軍のシンクタンクで、中国の宇宙への取り組みを調査している中国航空宇宙研究所(China Aerospace Studies Institute:CASI)が9月11日付けで明かした。

 国防面での宇宙状況把握(SSA)とは、宇宙空間の安定利用を維持するために、宇宙の脅威やリスクを監視管理する取り組みを指す。

 現代社会は急速に宇宙への依存度を高めているが、人工衛星に接近して妨害、攻撃、捕獲するキラー衛星の登場や宇宙空間の混雑化、さらには宇宙活動の広がりや科学技術の急速な進化などによって、SSAのニーズは各国で認識されるようになった。

 中国は2015年に人民解放軍(PLA)の第5支部として戦略支援軍(SSF)を創設し、同軍が宇宙、サイバー、電子戦などの分野を担当している。

 今回の報告書によれば、SSFの新しい第37基地は、ミサイル早期警戒能力を高め、外国からの宇宙の物体を識別し追跡する任務を担う。陝西省、山東省、新疆ウイグル自治区、雲南省、杭州市、青海省、湖北省に追跡ステーションや施設があり、北京市と重慶市にも施設があるようだ。

 また同基地には、ミサイル早期警戒衛星からのデータが統合されている可能性もある。静止軌道上にある中国の機密衛星「Tongxin Jishu Shiyan(TJS)」の多くは、ミサイル早期警戒が任務だと考えられている。

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中国航空宇宙研究所

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