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宇宙から遭難者を捜索–レーザー人工衛星活用した「宇宙キーホルダー」

2022.05.13 07:45

飯塚直

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 光探索システムを開発する特定非営利活動法人の光探索協会(大阪市浪速区)は5月12日、反射到達距離400kmの再帰性反射シートを開発、「可変QRコード」を使用した「宇宙キーホルダー」としてクラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトを開始した。

宇宙仕様の可変QRコードキーホルダー(出典:光探索協会)
宇宙仕様の可変QRコードキーホルダー(出典:光探索協会)

 可変QRコードは写真やメッセージ、連絡先などの登録情報を自由に書き換えられる。光探索協会は、可変QRコードを使用した再帰性反射グッズの普及に努めている。例えば、可変QRコードに書き込んだ登山計画などは電子的な入山届の役目を果たせるという。

(出典:光探索協会)
(出典:光探索協会)

 今回、反射到達距離が400kmという高輝度再帰性反射シートを開発。サーチライト搭載ドローンによる光探索が可能と説明する。将来的には、レーザーを搭載する人工衛星「ICESat-2」(NASAが開発、運用)などで山岳遭難者や迷子を光探索するための基盤技術になるとしている。

 Makuakeでのプロジェクトでは、宇宙キーホルダーの支援者向けに会員証を発行。これはレーザー搭載人工衛星による山岳遭難者の捜索ミッションを要求、提案する協賛者の証になるという(会員番号はキーホルダーの応援購入希望順)。

 レーザー搭載人工衛星による山岳遭難者の捜索ミッションの採択を前提に宇宙キーホルダーを活用した宇宙実験を実施する計画であり、宇宙キーホルダーの支援者は、この実験に参加できるとしている。

可変QRコードの登録システム(出典:光探索協会)
可変QRコードの登録システム(出典:光探索協会)

 可変QRコードを活用して登山計画などを書き込むことも可能だが、登山届は自治体によって提出を義務化しているため、宇宙キーホルダーだけで代用することはできない。書き込んだメッセージなどは、同協会のサーバーに蓄積され、遭難時には同協会の東京支部がおかれている日本山岳救助機構(jRO、東京都新宿区)とも連携するという。

 同協会では、高精度プリズム型再帰性反射シートを装着した超小型人工衛星を2022年度に打ち上げる予定。打ち上げ後、約半年の間に地上からレーザーを照射し、その反射光の強度などを測定する予定だという。

可変QRコードキーホルダー(出典:光探索協会)
可変QRコードキーホルダー(出典:光探索協会)

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