ウェブGIS「天地人コンパス」で水域面積割合の変化を時系列で表示

ニュース

地理情報サービス「天地人コンパス」、水域面積割合の変化を時系列で表示

2023.07.25 08:00

飯塚直

facebook X(旧Twitter) line

 JAXAベンチャーの天地人(東京都港区)は7月24日、ウェブベースの地理情報システム(Geographic Information System:GIS)「天地人コンパス」をベースに水域の変化を表すデータから土地を評価できるという「天地人コンパス WaterWatch」(アルファ版)の提供を開始した。アカウントを登録せずに無料で利用できる。

 ウェブGISサービスの天地人コンパスは、地球観測衛星のビッグデータをはじめとするさまざまなデータをもとに、衛星データや地上データなどの各種データを取得、解析、可視化を総合的に行える。農業生産から都市開発まで、目的にあわせたカスタマイズに対応し、ビジネスで最適な土地を宇宙からみつけられるという。

 世界中のどんな地域でも比較できるので、農業分野での栽培適地、栽培に適した品種を探す企業や農家、再生可能エネルギーの活用を考える企業、海外に移住を考えられている人など幅広く活用できるとメリットを解説している。天地人コンパスは、水道管の漏水リスクを管理するなどのシステムに活用されている。

 東南アジアでの洪水被害に注目した、同社のエンジニアインターン生が中心となって開発したという天地人コンパス WaterWatchは、指定した水域で時系列の水域面積割合の変化を表示できるという。表示されたグラフのプロット上を選択すると、ほぼタイムラグなしで日付と面積割合、その時の水域面積の画像が表示され、基準となる水域面積とどのくらい異なるかを判断できるようになるとしている。

天地人コンパス WaterWatchの画面(出典:天地人)
天地人コンパス WaterWatchの画面(出典:天地人)

 日本の128カ所のダムは現在、政府直轄事業者や地方自治体、電気事業者、一部の民間企業が管理している。そのため、データの活用が難しいとされている。

 だが、天地人は、衛星データを活用することで、過去の水域面積情報を取得し、継続的な変化を追うことや遠隔地の水域を一括でモニタリングできると期待されており、効率化が見込めると説明する。

 具体的には、ダム流入量予測システムの精度向上や水量予測によるハザードマップ作成、船の航行安全確認、水質管理などでの活用を想定。域面積の分析をするだけでなく、水資源という切り口から、インフラや生物多様性、脱炭素や農業など、さまざまな分野と組み合わせ、より効率的に事業を開発できるという。天地人コンパス WaterWatchは今後、搭載する水域データを随時更新、追加する予定としている。

Related Articles