「だいち2号」とSNSの情報から水害時の浸水状況を3Dで再現--被害を迅速に把握(出典:国土交通省)

ニュース

「だいち2号」とSNSの情報から水害時の浸水状況を3Dで再現–被害を迅速に把握

2023.06.09 17:11

佐藤信彦

facebook X(旧Twitter) line

 Spectee(東京都千代田区)と一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)は、人工衛星で得たデータとSNSの情報から、大量降雨時の浸水状況を地形や建物と組み合わせて3D表示できるシステムを開発した。

 このシステムは、陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)の観測データとSNSの情報から、水害発生時の浸水状況を3D化して再現する。浸水に関する情報は、空間ID単位で管理、ベクトルタイル化しており、国土交通省の3D都市モデルデータ「Plateau」の建物情報と組み合わせられる。その結果、どの建物がどの程度まで浸水しているか把握可能だ。

 オープンソースの3D地理空間可視化プラットフォーム「Cesium」と3D表示ソフト「Photorealistic3D」を組み合わせて使用することで高精細に表示できる環境を提供していると説明する。

 Specteeらは、2019年8月豪雨による浸水被害を受けた地域のデータでシステムの動作を検証。実際の浸水被害を撮影した写真と比べたところ、被害状況の高い再現性が確認できたという。

(左)システムで再現した浸水状況、(右)実際の浸水状況(出典:Spectee、RESTEC)
(左)システムで再現した浸水状況、(右)実際の浸水状況(出典:Spectee、RESTEC)

 特定地域の浸水情報を高精度かつ迅速に生成できるため、罹災(りさい)証明の発行にかかる時間の短縮、適切な避難誘導や救命活動などが期待できるとしている。

2019年8月の佐賀県武雄市での浸水状況を再現したビデオ(出典:RESTEC/YouTube)

 同システムは、デジタル庁の「デジタルツイン構築に関する調査研究」事業として開発した。



Related Articles