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Solafune、衛星データ基盤「Tellus」無料利用事業者に–海洋ゴミを検出、推定
2023.06.05 16:23
Solafune(東京都渋谷区、沖縄県沖縄市)は6月5日、経済産業省の「衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業」での衛星データ無料利用事業者に採択されたと発表した。
経済産業省では、2023度「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(SERVISプロジェクト)」のうち、「衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業」における衛星データ無料利用事業者を5月8日から公募していた(締め切りは5月22日)。
SERVIS(Space Environment Reliability Verification Integrated System、宇宙環境信頼性実証システム)は、民生の部品や技術を宇宙などで活用するための、データベースやガイドラインといった知的基盤を構築するプロジェクト。
衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業は、衛星データを活用してさまざまな産業の生産性を向上させるために複数の地域でソリューション開発に必要な衛星データを課題やテーマを絞って一括調達して、課題やテーマに応じたアルゴリズムやソリューションの開発を衛星データプラットフォーム「Tellus」で行うことを支援するという。
経産省によると、小型衛星の打ち上げ機会の拡大などにより、衛星データの質と量が抜本的に向上。防災、インフラ維持管理、農林水産業、交通、物流、金融・保険など、さまざまな分野で衛星データを活用した社会課題解決が期待されているという。
しかし、これまでに政府の衛星データプラットフォームに集約されている衛星データは、頻度や解像度、データ種別の各面で課題があり、特定地域のユーザーニーズに寄り添った形でのデータ提供が進んでいないという課題があった。
そこで同事業では、経産省が地方公共団体や企業などからのニーズ情報の提供を踏まえ選定した地域を対象に、地域が抱える課題の解決に必要となるさまざまな商用衛星データを追加的に調達。衛星データ以外の地理空間データも充実させた上で、衛星データなどを活用した課題解決のためのソリューション開発実証を集中的に行うための支援を提供する。今回の公募では、Tellus上で無料で利用できる事業者を募集した(第2回の公募は、8月上旬頃を予定)。
今回の事業では、Tellusにある光学衛星や合成開口レーダー(SAR)衛星のアーカイブデータを無料で利用できる。無料で利用できる衛星データは以下の通り。
- 光学衛星
- アクセルスペース「GRUS」
- Maxar Technologies「WorldView」「GeoEye」(旧OrbView)シリーズ
- Airbus Defence and Space「Pleiades」「SPOT」シリーズ
- SAR衛星
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)「ALOS-2」(だいち2号)
- Synspective「StriX」シリーズ
- QPS研究所「イザナミ」
- 日本地球観測衛星サービス(JEOSS)「ASNARO-2」
データの内容は「Tellus Satellite Data Traveler」「Tellus Market」で確認できる。対象となる地域は、北海道、富山県、福井県、山口県、九州地方(熊本県、福岡県、大分県、鹿児島県、佐賀県、長崎県)。
Solafuneは、自治体や大手企業を中心に、衛星データを活用したソリューションを提供。今回採択された同事業では、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」にある「海の豊かさを守ろう」への貢献を目指し、河川や海のゴミを検出、推定することに取り組むという。
すでに、岡山市をはじめとする自治体と実証実験を進めており、今後はより精度を高めに効率的、かつ効果的なゴミの検出アルゴリズムを開発する予定。最終的には、幅広い自治体に導入することで日本から排出される海洋ゴミの削減を目指す。