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「宇宙ゴミ対策」のBULLと東京海上、事業共同で基本合意–持続可能な宇宙目指す

2023.05.22 17:29

飯塚直

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 BULL(栃木県宇都宮市)は、東京海上日動火災保険と持続可能な宇宙環境の実現を目指すための事業共同に関する基本合意書(MOU)を4月に締結した。5月18日に発表した。

 BULLは、宇宙機に事前搭載する、宇宙ゴミ(スペースデブリ)化を防止する装置や軌道上の微小重力環境を活用した試験装置を開発する企業。産学官の枠組みが揃った栃木県宇都宮市を拠点としており、帝京大学を中心とした学術的なつながり、栃木航空宇宙懇話会(TASC)やとちぎ航空宇宙産業振興協議会を中心とした産業的なつながり、栃木県と宇都宮市による公的なバックアップのもと、強固な座組を形成しているという。

 東京海上日動は、宇宙関連の保険商品を販売している。そこで、BULLの開発成果について、将来の宇宙保険に展開するため、保険商品設計などでの協業を決定した。

 協業では、BULLが開発するデブリ化防止装置などの事業性を検討するほか、リスクマネジメントや保険商品設計でBULLの製品を使用した場合の既存保険への影響評価や新たな保険コンセプトを検討する。持続可能な宇宙環境の実現に向けた取り組みも予定する。

 持続可能な宇宙環境の実現は、宇宙開発の中での重要性がますます高まる分野とされ、近い将来、大きな市場となることが見込まれている。関連した宇宙開発の進展は、新たな技術やサービスを生み出し、さらには地球環境の保全にも役立つと期待されている。世界の宇宙産業や研究機関でも、宇宙環境の保護と持続可能性に対する関心が高まる中、今回の協業は先駆的な試みになるという。

 今回の協業により、宇宙デブリ対策や持続可能な宇宙環境の実現に向けたイノベーションを生み出し、宇宙保険市場や宇宙産業の発展における新たな機会創出を目指すとしている。

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