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ウミトロン、衛星データ活用した「ブルーカーボン」評価サービス–自治体に提供

2023.04.20 10:00

佐藤信彦

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 ウミトロン(東京都品川区)は、ある地域の沿岸などが持つ「ブルーカーボン」の可能性を衛星データ解析や人工知能(AI)で評価するサービスを開発した。自治体向けに提供する。

 ブルーカーボンとは、海洋生態系に取り込まれる炭素(カーボン)のこと。海草や藻場、湿地や干潟、マングローブ林などは、炭素を吸収して貯留する能力があり、カーボン排出量が実質ゼロの「カーボンニュートラル」を実現する手段の一つだ。

 海岸線を有する自治体では、カーボンニュートラル達成に向けてブルーカーボンの活用が検討されている。しかし、広範囲でブルーカーボンの可能性を確認する作業は、時間やコストがかかってしまう。

 ウミトロンは内閣府の支援を受け、ENEOSホールディングスや熊本県上天草市と共同でプロジェクト「カーボンニュートラルを目指す自治体と民間企業とのマッチングに向けたブルーカーボンのポテンシャル評価事業実証」を実施。衛星リモートセンシングのデータとAIを使った、ブルーカーボンのポテンシャル評価サービスを開発した。

 同サービスは、衛星データを活用して自治体沿岸の藻場や海草の生育エリアを推定し、ブルーカーボンの蓄積量の推定と生育のポテンシャルマップを作成する。沿岸域で対象となる藻類や海草の生育が確認されているエリアの一部を調査し、その結果からAIによる条件学習を行う。自治体全域の衛星画像から対象の藻類や海草の生育場所をAIで推定し、ブルーカーボン蓄積量を算出。衛星と水深のデータ、現地で取得した補正データで生育活動が可能なエリアもマッピングする。

ブルーカーボンのポテンシャルを評価する流れ(出典:ウミトロン)
ブルーカーボンのポテンシャルを評価する流れ(出典:ウミトロン)

 ウミトロンは、ブルーカーボン活用に興味のある地方自治体へ同サービスを提供していく。


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