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三井物産エアロスペース、ドバイ製大型衛星の認定モデル環境試験を完了
三井物産エアロスペースは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国の政府宇宙機関であるムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(Mohammed Bin Rashid Space Centre:MBRSC)が開発、製造する大型人工衛星「MBZ-Sat」の“認定モデル(Qualification Model:QM)”環境試験をすべて完了したと発表した。
三井物産エアロスペースは、MBZ-SatのQMと“フライトモデル(Flight Model:FM)”に対する振動試験や熱真空試験などの環境試験の請負契約を2022年6月に締結。その後、試験条件やインターフェース、スケジュール、衛星輸送など技術調整を経て、エイ・イー・エス(AES、中央区八重洲)の協力のもと、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 筑波宇宙センター内の試験設備でQM環境試験を完了した。実施期間は2022年12月~2023年1月。
筑波宇宙センター内の試験設備を活用して、民間企業が海外で製造された衛星の環境試験を実施するのは今回が初になるという。FM環境試験は2023年度を予定している。
QM環境試を完了させたMBZ-Satは2023年に打ち上げる予定。高解像度の画像撮影を目的とし、中東地域で最も競争力のある商業衛星になるという。
MBRSCはUAE国家宇宙計画の開発部門として2006年に設立。2009年には、独自開発した地球観測衛星「DubaiSat-1」の打ち上げに成功。2013年には、より高性能な「DubaiSat-2」を打ち上げている。
2017年には教育機関と連携して開発した「NAYIF-1」、2018年には単独で開発した「KhalifaSat」(「DubaiSat-3」)、2021年にはドバイ政府との協力のもと温室効果ガスなどの計測を目的とした中東地域初の環境衛星「DMSat-1」を打ち上げている。
MBRSCでは、深宇宙探査にも取り組んでおり、月面探査車(ローバー)「Rashid」が2023年に月に着陸する計画(日本の民間月探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の着陸船に搭載)。成功すれば、UAEは月面着陸に成功した世界で4番目の国になる予定。
三井物産エアロスペースは、2019年12月に親会社である三井物産から国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」からの衛星放出サービスの事業権を継承。国内外に超小型衛星放出サービスを提供している。
米Spaceflightの代理店として、「ロケットライドシェアサービス」や衛星の開発から打ち上げ、運用まで一括で提供する「ワンストップサービス」、衛星通信用地上局アンテナの調達支援まで、サービスを拡充している。