ニュース
大半が3Dプリンター製のロケット、打ち上げ–1段目は予定通り機能
2023.03.28 13:44
商用ロケットベンチャーの米Relativity Spaceは、日本時間3月23日午後12時25分に大半が3Dプリンターで製造されたロケット「Terran 1」を打ち上げ、1段目が予定通り機能したと確認した。2段目は正常に燃焼せず、地球周回軌道には達しなかった。
Terran 1は全長33.5m、直径2.28m、乾燥質量9280kgの2段式ロケット。ペイロードの軌道投入能力は、高度185kmの地球低軌道(LEO)に最大1200kg、高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に900kg、高度1200kmのSSOに700kgとしている。
最大の特徴は、エンジンを含め多くの部分が3Dプリンターで作られていること。重量比で85%が3Dプリンター製だ。その結果、部品点数が従来ロケットの100分の1と少なくなり、信頼性が高く、60日という短期間で完成できるという。1回の打ち上げコストは1200万ドル(約15億6960万円)としている。
エンジンは、1段目が「Aeon 1」9基、2段目が「Aeon Vac」1基。いずれも、燃料は液化天然ガス(液体メタン)を使っており、入手性が高く安価であると同時に、性能も高いとしている。
今回の打ち上げは、Terran 1初の打ち上げミッション「Good Luck, Have Fun(GLHF)」。3Dプリンターで製造したロケットが、打ち上げの負荷に耐えられるかどうかを検証することが目的。そのため、人工衛星のようなペイロードは搭載していない。
米フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の射場「LC-16」から打ち上げ、80秒後に負荷が最も高くなるポイント「Max-Q(マックス-Q)」を無事クリア。その後、1段目の燃焼停止と分離に成功した。ただし、2段目エンジンは着火したもののすぐに消えてしまい、軌道到達は失敗した。
Relativity Spaceは、3Dプリンター製ロケットが実用可能なことを示せたとした。今後は、Terran 1の3Dプリンター率を95%へ引き上げるほか、3Dプリンター製の再利用可能な新型ロケット「Terran R」の開発を進める。