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ISSを海洋に落下させるための「宇宙版タグボート」NASAが開発へ–運用終了に備え
2023.03.14 18:01
米航空宇宙局(NASA)は現地時間3月9日に発表された予算要求において、国際宇宙ステーション(ISS)を軌道から離脱させるための「スペースタグ(離脱機)」を開発することを明かした。いわば宇宙版のタグボートのような存在だ。
ISSは2030年の運用終了が予定されており、その後に制御した状態で大気圏へ移動させ、海洋上に落下させる必要がある。現在ISSの軌道離脱能力はロシアの「Progress(プログレス)」貨物船に依存しているが、その依存を軽減するのがNASAの狙いだ。
NASAのKathy Lueders(キャシー・ルーダース)氏は、「過去やこの1年で見てきたように、冗長性は我々とパートナーにとって非常に重要だ。そして米国が軌道離脱機を持つことは、ISSの宇宙運用におけるもう一つの重要な要となる」と語っている。
現在ISSに接続されているProgressは冷却水の漏洩問題が起きており、またロシアの「Soyuz(ソユーズ)」宇宙船でも同様の問題が発生している。一方でNASAの予算要求によれば、スペースタグの開発には1億8000万ドル(約240億円)が割り当てられている。