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小型SAR衛星のQPS研究所、10億円を調達–新工場増設で衛星の大量生産体制を整備
2023.03.10 16:45
小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は、第三者割当増資を実施し、新たに約10億円を調達した。これまでに調達した資金は、総額約92億円になったという。
増資を引き受けたのはスカパーJSAT、日本工営、MSIVC2021V投資事業有限責任組合(三井住友海上キャピタル運営)、リアルテックグロースファンド1号投資事業有限責任組合(NAMYとアイビス・キャピタル・パートナーズが共同運営)の4社。
QPS研究所は、従来のSAR衛星に比べ質量が20分の1、100分の1のコストで製造可能な小型SAR衛星「QPS-SAR」を開発した企業。現在2機の衛星を運用し、夜間や天候不良時でも高分解能かつ高画質に観測できるSAR画像を提供している。
今後、衛星を毎年複数機打ち上げ、2025年以降を目標に36機の小型SAR衛星のコンステレーションを構築する計画。実現すれば、平均10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供が可能になるという。
今回の資金調達は、こうした衛星打ち上げプランを積極的に推進するためのもの。新工場を増設し、衛星の大量生産体制を整備するとしている。
2022年10月に3号機「QPS-SAR-3」と4号機「QPS-SAR-4」を宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「イプシロン」ロケット6号機で軌道投入しようとしたが、打ち上げは失敗してしまった。
5号機「QPS-SAR-5」はVirgin Orbitの空中発射式ロケット「LauncherOne」で、6号機「QPS-SAR-6」はSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」ロケットで打ち上げる予定。