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QPS研究所、小型SAR衛星6号機を2023年6月以降に打ち上げ–SpaceXと契約

2022.12.16 08:00

飯塚直

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 小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は12月15日、Space Exploration Technologies(SpaceX)と、小型SAR衛星のQPS-SAR6号機(愛称「アマテル-III」)の打ち上げに関して契約を締結したと発表した。

 2023年6月以降にロケット「Falcon 9」を利用し、太陽同期軌道(高度500~600km予定)に投入されるという。

 QPS研究所は、収納性が高く、10kgと軽量でありながら大型の展開式アンテナを開発。同アンテナで強い電波を出すことが可能になり、従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストというQPS-SARを開発している。

 現在は、1号機「イザナギ」と2号機「イザナミ」の2機を打ち上げて運用。2021年5月には、イザナミによる70cm分解能という民間の小型SAR衛星として日本で最高精細の画像取得に成功している。

 3号機以降は、さらに高精度で高画質の画像を取得できるように改良を加えており、展開型太陽電池パネルとバッテリーを追加し、使用できる電力量を増加。アンテナの鏡面精度も向上させ、さらに強い電波を出せるように改良している。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とアルウェットテクノロジー(東京都三鷹市)が共同開発した「軌道上画像化装置」も搭載。SAR観測データを軌道上の衛星内で処理することで衛星からのダウンリンク量を大幅に圧縮できるという。

 Synspectiveによると、衛星コンステレーションを構築するため、軌道制御用のスラスターも搭載すると説明。2025年以降を目標に36機の小型SAR衛星コンステレーション構築を目指している。

6号機アマテル-IIIのミッションマーク(出典:QPS研究所)
6号機アマテル-IIIのミッションマーク(出典:QPS研究所)

 3号機「アマテル-I」と4号機「アマテル-II」は小型固体燃料ロケット「イプシロン」6号機で10月に打ち上げられたが、ロケットを破壊する指令が送られたことで軌道に投入できなかった。5号機は、米Virgin Orbitの空中発射式ロケットで2023年初頭に打ち上げられる予定

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