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新型ロケット「H3」、3月6日に打ち上げ–前回の中止は1段機体システムが誤作動

2023.03.03 18:19

飯塚直

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月3日、新型基幹ロケット「H3」の「試験1号機(TF1)」の打ち上げを3月6日に再設定したと発表した。打ち上げ時間帯は午前10時37分55秒~10時44分15秒。予備期間は3月7~10日。先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)を搭載する。

 2月17日に打ち上げる予定だったが、打ち上げ直前に1段機体システムが異常を検知したことで打ち上げを中止していた。

 調査の結果、機体と地上設備の電気的離脱時に発生する通信・電源ラインの過渡的な電位変動の影響から1段機体制御コントローラーが誤動作したと考えられるという。必要な対策処置を完了する見込みが得られたことから、打ち上げ日程を3月6日に決定した。

 3月6日の打ち上げの可否については、今後の天候状況を踏まえ、再度判断していくという。打ち上げの模様は衛星分離まで紹介する中継番組を予定している。

 ALOS-3は、2006~2011年に運用していた陸域観測技術衛星「だいち」(Advanced Land Observing Satellite:ALOS)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星。三菱電機がプライムメーカーとして設計、製造を担当する。

 ALOSと比べ大型化、高性能化したセンサーを搭載し、ALOSの直下70kmという観測幅を維持しつつ、直下0.8mという高い地上分解能を実現。全地球規模の陸域を継続的に観測し、蓄積した平時の画像や災害発生時の画像を防災・災害対策などを含む広義の安全保障に活用していくという。

ALOS-3(出典:JAXA)
ALOS-3(出典:JAXA)

 観測画像については、国内や途上国の高精度な地理空間情報の整備や更新に活用されるほか、多様な観測バンドによる沿岸域や植生域の環境モニタリングや土地被覆分類など、さまざまな分野で利用される予定。パスコが観測画像の配布事業を担当。衛星データの利用における民間事業者の知見を生かし、利用拡大を目指す。

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