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DigitalBlast、細胞実験に特化した装置を開発へ–月面と同じ重力環境を再現
2023.02.08 14:46
デジタルブラスト(DigitalBlast)(東京都千代田区)は2月8日、国際宇宙ステーション(ISS)での細胞実験に特化した小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ Alpha」の開発に着手したと発表した。
同社は、ライフサイエンス分野における多様な宇宙実験ニーズに対応するため、月面での生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH」を立ち上げている。
同プロジェクトの第一歩として小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ」を開発している。AMAZは、多様な重力環境下での栽培と培養で生物の重力への適用などの基礎データを取得する植物生理の研究が主目的。2024年のISSへの設置・運用を目指している。
NOAHの新たな取り組みとして、微小重力環境で細胞培養実験に特化した小型ライフサイエンス実験装置としてAMAZ Alphaの開発を決定した。
AMAZ Alphaは、ユーザビリティを意識したAMAZの設計思想を生かして、細胞実験を目的とした小型の宇宙実験装置となる。AMAZ同様、月面と同じ重力(地球の6分の1)のほか、回転速度を変更することでさまざまな重力環境を再現し、同時比較が可能。多様な重力下での培養を通して、細胞の重力への適用などの基礎データが取得できるという。
これまでの細胞培養の宇宙実験では、培地の交換など宇宙飛行士による操作や作業が発生していたが、同装置では培地や試薬の自動送液機能を搭載し、宇宙飛行士の作業工数を削減できるという。細胞を観察する機能として、蛍光観察装置を内蔵する予定。実験環境下のまま細胞の変化を観察でき、装置内で実験を完結できるとしている。
2025年ごろのISSへの打ち上げを目指し、同装置の研究、開発を進めていくという。開発する装置は、民間企業や研究機関向けに実験環境として提供する考え。
タンパク質結晶成長の宇宙実験を実施するため、植物科学実験であるAMAZや細胞実験を可能とするAMAZ Alphaを収納でき、周辺温度環境を制御可能な可搬型インキュベータを開発する予定。iPS細胞などを活用した立体培養実験を提供するため、「AMAZ Omega」を構想している。