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DigitalBlast、実験装置「AMAZ」フライトモデルの設計を三菱重工に委託

2022.11.25 12:40

飯塚直

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 DigitalBlast(東京都千代田区)は11月24日、小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ」のフライトモデルの開発・製造の設計について、三菱重工業への委託を決定したと発表した。

 近年、「Artemis」計画をはじめとした有人宇宙探査が盛り上がりをみせており、宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が高まっているという。

 しかし、国際宇宙ステーション(ISS)などの微小重力環境が植物の育成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている一方で、月や火星といった低重力環境の植物育成への影響は現在十分に把握できていないと言われている。

 同社では、こうした状況を踏まえ、月面での生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH(ノア)」を立ち上げており、その第一歩として位置付けられているAMAZは、2024年のISSへの設置と運用を目指し、現在地上実験が進められている。

 三菱重工にAMAZの設計を委託することで、三菱重工が保有する航空宇宙開発の技術や知見を活用し、2024年のISSへの設置と運用に向け、宇宙実験プラットフォーム構築の実現を目指す。まずは、AMAZの要求分析など、フライトモデルの開発と製造に向けた概念設計・予備設計を委託して進めていくという。

 両社の持つ技術や知見を最大限に活用することで、微小重力環境での栽培・培養における研究機関への実験環境を提供するとともに、宇宙関連商品を開発する民間企業への実験結果を提供し、さらなる宇宙ビジネスの発展につながることを期待しているとしている。

AMAZに試料容器を取り付ける様子(出典:DigitalBlast)
AMAZに試料容器を取り付ける様子(出典:DigitalBlast)

 AMAZは、宇宙環境と月面重力での植物生理の研究が主目的。装置の一部を回転させることで生じる遠心力を用いて、月面と同じ重力(地球の6分の1)を再現するという。

 発生させる重力は、月面と同じ重力の他、回転速度を変更することでさまざまな重力環境を再現し、同時に比較できると説明。多様な重力下での栽培や培養を通して、生物の重力応答に関する基礎データを取得するとしている。すでにプロトタイプが完成し、地上実験を進めている。

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