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誰でも使える「宇宙のカメラ」–ソニーの宇宙事業「STAR SPHERE」を吉田社長がCESで紹介

2023.01.10 14:23

本田雅一

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 ソニーグループ(以下、ソニー)が進めてきた超小型人工衛星プロジェクト「STAR SPHERE」で、最初の衛星「EYE」が地球周回軌道に乗り、通信リンクが確立したことを確認した。昨年12月に予定されていた打ち上げは、天候などの理由で延期されていたが、1月3日に無事打ち上げられ、地上との通信が確立しているという。

 これを受け、米ラスベガスで開催されたテクノロジーイベント「CES 2023」で、ソニーCEO兼社長の吉田憲一郎氏は「われわれは様々な形でクリエイターをはじめとするコンテンツ創造に関わる人たちをサポートしてきた。超小型衛星のSTAR SPHEREにはソニーのカメラ技術が組み込まれており、宇宙から観た実映像をすべての人たちに解放する」とアナウンスした。

 改めてこのプロジェクトを紹介すると、STAR SPHEREは10cm x 20cm x 30cmの小型(6Uサイズ)衛星だ。2年余りで大気圏に落下するが、それまでの間、95分かけて地球を1周しながら撮影を続ける。ユーザーはシミュレーターで撮影シーンを予約、あるいは特定の時間帯を貸し切って、衛星を遠隔操作して地球や宇宙を撮影できる。撮影した静止画や動画は、ユーザー自身の作品として発表できる。

 なお、CESにおけるプレス発表では、STAR SPHEREからの映像を初披露する予定だったという。吉田社長自身が、日本のある地点の写真を特定の角度で撮影し、宇宙から見える日本の美しさ、あるいは薄く儚い大気層を、実写映像で表現する計画もあったようだ。

 ただ、運用開始までにはデータリンク確立からしばらくの準備期間が必要だ。残念ながらCESのステージには間に合わなかったが、近く新たな成果を披露する機会もあるという。現地で担当スタッフに稼働時期について質問すると「さほど待たせずに」開始できる見込みという。

 STAR SPHEREは、地上からリモート制御することで、地上にいる一般の利用者が静止画や動画を撮影できるサービスを提供する。このシミュレータは米国のCES2023会場にも持ち込まれ、展示されていた。

 プロジェクトが世界に向けて発信されたことで、この衛星を使った創作活動のアイディアはさらに幅広く集まることになるだろう。引き続きプロジェクトの進展に期待したい。

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