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NASA、ハッブル宇宙望遠鏡の延命策を公募–軌道を高める方法は? ほかの衛星にも応用

2023.01.05 15:52

佐藤信彦

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 米航空宇宙局(NASA)は、「Hubble」(ハッブル)宇宙望遠鏡の地球周回高度を高めて延命するため、技術的アイデアを募る「情報提供要請(Request for Information:RFI)」を2022年12月22日に開始した。提案は、2023年1月24日まで受け付ける。

 Hubble宇宙望遠鏡は、1990年4月に打ち上げられて以来、宇宙飛行士による修理が繰り返されつつ30年以上にわたって天体観測に活用されてきた。現在の軌道高度は335マイル(約540km)ほどで、空気抵抗により徐々に低下中。このままだと、大気圏に再突入して破棄されてしまう。

Hubble宇宙望遠鏡(出典:NASA)
Hubble宇宙望遠鏡(出典:NASA)

 何らかの方法で軌道を高められれば、まだ何年も観測に利用できる。そのため、NASAはSpace Exploration Technologies(SpaceX)などとともに、SpaceXの無人宇宙船「Dragon」で軌道修正する実現性を検討してきた。

SpaceXのDragon(出典:NASA)
SpaceXのDragon(出典:NASA)

 NASAは、SpaceXのロケットや宇宙船に固執せず、さまざまな方法を探るため、今回のRFIを開始。さらに、Hubble宇宙望遠鏡だけでなく、ほかの人工衛星の軌道修正も視野に入れている。

 Hubble宇宙望遠鏡の軌道修正プロジェクトに対して、NASAは資金提供を予定していない。そのため、軌道修正技術の商業的な可能性も検討するという。

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