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新型ロケット「H3」初の打ち上げ、2023年2月12日に–「だいち3号」を軌道に投入

2022.12.23 13:57

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、開発中の新型基幹ロケット「H3」について、「試験1号機(H3・TF1)」を種子島宇宙センターから2023年2月12日に打ち上げると発表した。H3ロケットの打ち上げは、これが初めて。貨物(ペイロード)として先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」を搭載し、軌道へ投入する計画。

 H3は当初2021年度中の打ち上げを目指していたが、新型エンジン「LE-9」に振動問題が見つかり延期となっていた。その後の設計変更で対応し、11月7日に機体とエンジンを組み合わせた状態の「1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)」を成功させた。このCFTについて、JAXAは「(H3・TF1打ち上げに向けた)最終関門といえる重要な試験」としている。

11月にCFT成功(出典:JAXA)

 H3・TF1は、LE-9エンジンが2基、固体ロケットブースター「SRB-3」が2本、ショートフェアリングという「H3-22S」構成。全長は約57m、ペイロードを除いた質量は約422トン。ALOS-3は、質量が約3トンあり、太陽電池パドル展開時のサイズが約5.0m×約16.5m×約3.6m。

H3ロケットとだいち3号(出典:JAXA)

 打ち上げは、2月12日の午前10時37分55秒から同10時44分15秒のあいだに実施する。ALOS-3の分離は、打ち上げから16分57秒後の予定。2月12日に打ち上げられなかった場合の予備期間は、2月13日から2月28日。

今回の飛行経路(出典:JAXA)
H3ロケットの紹介ビデオ(出典:JAXA/YouTube)
だいち3号の紹介ビデオ(出典:JAXA/YouTube)

 陸域観測技術衛星(Advanced Land Observing Satellite:ALOS、愛称:だいち、2006~2011年運用)の光学観測を引き継ぐ衛星であるALOS-3は、センサーを大型化、高性能化。ALOS-3の観測幅はALOSと同じ70kmだが、地上分解能はALOSよりも高く0.8mとなっている。高度669kmで太陽同期準回帰軌道を回る。



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