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月探査ミッション「Artemis I」、打ち上げ成功–無人船「Orion」を軌道に投入
2022.11.17 15:33
米航空宇宙局(NASA)は、月探査計画「Artemis(アルテミス)」の初ミッション「Artemis I」において、ロケット打ち上げを成功させた。
Artemisは、月に宇宙飛行士を送り、月面探査などを実施する計画。Artemis Iでは、新型ロケット「Space Launch System(SLS)」で無人の宇宙船「Orion(オリオン)」を打ち上げて月軌道を周回させ、最終的に地球へ帰還させる。Artemis計画において、SLSとOrion、ケネディー宇宙センターの地上管制システムを初めて統合した形で実施する試験という位置付け。Orionの大気圏再突入から降下、着水も試験する。
当初8月29日に打ち上げる予定だったが、エンジン関連トラブルやハリケーン接近などにより、再三再四の延期を強いられてきた。
打ち上げは、米国フロリダ州にあるケネディ宇宙センターの発射台「39B」から、米東部標準時(EST)11月16日午前1時47分(日本時間11月16日午後3時47分)に実施。それ以降の経過は以下の通り。
- 約2分後:2基の固体ロケットブースターを分離
- 約3分後:サービスモジュールのフェアリングと脱出システムを分離
- 約8分後:SLSコアステージ(1段目)の噴射を停止し、コアステージを分離
- 約18分後:Orionの太陽電池パドルを展開し、Orionの正常動作を確認
- 約53分後:SLSの2段目に相当する中間低温推進ステージ(ICPS)を約20秒燃焼させ、地球に最も近づく近地点(ペリジ)を高く調整
- 約1時間30分後:再度ICPSを約18分間燃焼させ、Orionを月へ向かう軌道へ投入。燃焼終了から約10分後にICPSを分離。Orionは予定通り単独で飛行開始
その後、Orionは軌道を随時修正しながら月を目指す。
11月21日に月に到着し、月の周回軌道に入ってさまざまな試験を実施する。地球への帰還は12月11日の予定。
NASAは今後、「Artemis II」で月軌道の有人ミッション、「Artemis III」で宇宙飛行士を月に着地させる計画。さらに、「Artemis IV」で「Apollo(アポロ)」計画以降で2回目となる有人月探査ミッションを実施するとしている。