特集
建設機械やドローンを操縦–「IoT」を拡大できる衛星通信の可能性
2022.07.26 08:00
SPACETIDEは7月19日から3日間、アジア最大級の宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2022」を開催。2015年から数えて7度目となる今回は「宇宙ビジネスは、新たな価値を届ける」をコンセプトに多くのセッションが披露された。
衛星通信の新しい用途として“モノのインターネット(IoT)”が広がりつつある。IoTデバイスとして建設機械やドローンを利用するシーンも増えている。
初日に開かれたセッション「宇宙×通信:IoTを加速させる衛星通信の現状と将来像」には、日立建機 研究・開発本部 技監 枝村学氏、スペースエンターテインメントラボラトリー(川崎市幸区) 代表取締役 金田政太氏、米国を拠点に衛星通信サービスを提供しているKymeta Corporationで日本と台湾を担当しているセールスディレクター John Chesen氏が登壇した。
モデレーターを務めた東京大学 大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授 中須賀真一氏(SPACETIDE 理事)は、セッションについて「宇宙産業で幅広い割合を占める通信分野へ貢献が重要。活性化させなければならない」と主張した。
建設機械やドローンに衛星通信を活用
日立建機は間接的ながら、国土交通省の「宇宙無人建設革新技術開発推進プロジェクト」に協力してきたという。同社は自律型建設機械向けシステムプラットフォーム「ZCORE」の研究開発に取り組み、施工現場で求められる認識や判断、実行の自動化を目指しているが、「(建機は)アクチュエーターの数が多い。(人間では難しい)6カ所のアクチュエーターの同時可動に取り組んでいる」(同社研究・開発本部 技監 枝村学氏)
この技術を月面の自動開発を目指す同プロジェクトで利用可能にするため、デジタルツインの実現に取り組んでいる最中だ。枝村氏は「対象となる土は曖昧で難しい。まずは(仮想環境で)シミュレーションし、実際(の建機で)動かすのだが、リアルタイムのデジタルツイン構築は他の自動化プロセスよりも、はるかに難しい」と吐露する。
モデレーターが無人建築の可能性について尋ねると枝村氏は「研究開発段階でプラットフォームを構築し、容易な自動化から取り組みたい」と現状を説明した。