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建設機械やドローンを操縦–「IoT」を拡大できる衛星通信の可能性

2022.07.26 08:00

阿久津良和

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 必然的に設備に対する費用対効果が念頭に浮かぶが、KymetaのChesen氏は「データを分別すべきだ。(現在利用している)アプリケーションは少なく、低遅延の衛星通信や地上設備も利用できるが、今後はアプリケーションの数やセンサー数が増える『Things(モノ)』が増えている状態。需要に応じて異なる特徴を持った通信システムが必要だ」と主張する。

Kymeta 日本台湾担当セールスディレクター John Chesen氏
Kymeta 日本台湾担当セールスディレクター John Chesen氏

 続けてモデレーターは、費用対効果の側面から衛星通信コストの話に水を向けた。

 スペースエンターテインメントラボラトリーの金田氏は「海洋観察調査が多くなり、(自社ドローンは)巨大な調査船を代替するのが主目的。例えば、HAMADORI 6000は最大8時間飛行できるが、その間の映像を常に送信して10万円程度であれば(ソリューションを)実現できる」と回答。対してKymetaのChesen氏は「われわれの予想では10年程度で『ギガ10ドル』の時代が訪れる。データコストの低下を見据えて(自社は)投資を続けている」と展望を語った。

 ソリューションを実現する上での課題を各社に尋ねると、スペースエンターテインメントラボラトリーの金田氏は、前述した衛星通信機能の実装面で「容量やコストもそうだが、クリティカルなのは遅延。例えば、数秒前の映像で船(などの対象物)を探索するのは難しい。だが、低遅延なら遠隔操作する人間が判断して指示を出せる」と説明した。

 対して日立建機の枝村氏は「各種ネットワークの組み合わせ方が重要。通信業界の方々は自社方式にこだわる傾向があるものの、もう少しだけエンハンスドしてほしい。切なる願いだ。われわれも通信業界と連携して、フィードバックを返すループがもっと回らなければならない」と提案した。

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