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暗黒物質の謎に迫る、原始ブラックホールに予想外の「副産物」
2024.06.24 11:30
科学界はおよそ50年にわたり、重要な問題に取り組んできた。宇宙空間で目に見える物質が足りないという問題だった。
米航空宇宙局(NASA)によると、恒星、惑星、宇宙の塵(ちり)、その間に存在する物体など、目に見える物質だけでは宇宙の仕組みは解明できず、その5倍の物質がなければ観測結果の筋が通らない。科学者はこれをダークマター(暗黒物質)と呼ぶ。光の反応がなく、目には見えないというのがその理由だ。
1970年代、米天文学者のベラ・ルービンとW・ケント・フォードは渦巻き銀河の周縁部を周回する恒星を観測して、ダークマターの存在を確認した。こうした恒星は非常に高速で動いているにもかかわらず、まとまりを失うことはない。目に見える物質や重力だけでは説明のつかない現象だった。膨大な量の見えない物質が存在していて、銀河をつなぎとめているとしか考えられなかった。
ルービンの研究はスイスの天文学者フリッツ・ツビッキーが30年代に立てた仮説に基づいている。謎の物質の探求はここから始まった。
以来、科学者たちはダークマターの直接的な観測を試み続け、探知のための大型装置まで建造した。だがこれまでのところ、成果はなかった。
英国の著名物理学者、故スティーブン・ホーキング氏は、ビッグバンで形成されたブラックホールにダークマターが隠れている可能性があるとの仮説を立てた。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームによる新たな研究で、この理論が改めて脚光を浴びている。同チームはそうした原始ブラックホールが何でできているのかを解明し、その過程で、全く新しい種類の特異なブラックホールを発見した可能性がある。
「我々はスティーブン・ホーキング氏のブラックホールに関する有名な計算、中でもブラックホールが放出する放射線に関する重要な成果を利用した」「そうした特異なブラックホールは、ダークマターの問題を解決しようとする過程で浮上した。ダークマターに関する説明の副産物といえる」。論文筆者の1人、デービッド・カイザー氏はそう解説する。
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ダークマターの正体については、未知の粒子説から異次元説に至るまで、さまざまな説が発表されてきた。しかしホーキング氏のブラックホール理論が有力視されるようになったのは最近だ。