日本の探査機「ムーンスナイパー」、月面で奇跡的に目を覚ます

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日本の探査機「ムーンスナイパー」、月面で奇跡的に目を覚ます

2024.02.27 17:36

CNN.co.jp

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日本の月探査機「SLIM(スリム)」が、月面で息を吹き返し続けている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、2月はほとんど休眠状態だった無人探査機SLIMが奇跡的に目を覚まし、地球をとらえた新たな画像が送られてきた。SLIMは月の過酷な気温に耐えられる設計になっていないことから、予想外の展開だった。

SLIMは1月20日に月に着陸。月着陸を成功させたのは史上5カ国目、今世紀に入って3カ国目だった。

月探査機「SLIM(スリム)」から新たな画像が送られてきたことがわかった/JAXA
月探査機「SLIM(スリム)」から新たな画像が送られてきたことがわかった/JAXA

しかし倒立の姿勢で着陸したことから太陽光パネルが西向きになり、日光が十分に当たらず発電量が不足。限られた電力で数時間稼働して、着陸地点の画像を送信した後に休眠状態に入った。

JAXAは、月に対する太陽の角度が変わって太陽電池に光が届き、SLIMが再び目覚めることに期待をつないでいた。

SLIMは狙った場所から55メートル以内にピンポイント着陸できる精密さから、別名「ムーンスナイパー」と呼ばれる。着陸から10日後には再び目を覚まして新しい画像を撮影した。

しかし稼働時間は短く、月の長い夜が続く間、1月31日から2週間の休眠期間に入った。米航空宇宙局(NASA)によると、月の夜の気温は零下133度に達することもある。

2月1日には月が夜になる前にSLIMから見た最後の場面の画像がX(旧ツイッター)に投稿され、JAXAはコマンドを送ってSLIMが休眠状態に入ったことを確認した。

SLIMは月の夜の気温に耐えられる設計にはなっていない。それでもJAXAは、2月中旬に再び通信の確立を試みると予告していた。

航法カメラで撮影した月面の様子/JAXA
航法カメラで撮影した月面の様子/JAXA

この間に、米宇宙企業インテュイティブ・マシーンズが開発した月着陸船「IM―1(別名オデュッセウス)」が月の南極に着陸した。しかしSLIMと同様、オデュッセウスもトラブルに見舞われて実験的技術頼みの着陸を強いられ、最終的に横倒しになって着陸した。

JAXAは26日、「昨晩、コマンドを送信したところSLIMから応答がありました。SLIMは通信機能を維持しての月面での越夜に成功しました!」とXに投稿した。「昨晩はまだ月の昼で通信機器の温度が非常に高かったことから短時間の運用のみで通信を終了しています。今後、温度が十分に下がったところで観測を再開できるように準備を進めます」

別の投稿では「月の夜は寒かったけど、逆に月の昼はものすごく熱くなるんだ。昨晩地球と通信したとき、一部の機器の温度は最初から100℃を超えていたよ。こんなに高い温度は想定してなかったけどそれでも動作するなんて宇宙用の電子機器はすごいね!」と伝えている。

NASAによると、月の赤道付近の気温は121度にも達する。月の昼間は地球時間で29.5306日続く。

SLIMは通信が確立されている間にナビゲーションカメラを使って画像を撮影し、JAXAがデータを解析している。これまでに送られてきたデータでは見えなかった部分をとらえた画像もある。

「さらなる観測の可能性にワクワクしています!」とJAXAはコメントしているが、SLIMの月面調査がいつ再開されるかの見通しは明らかにしなかった。

(この記事はCNN.co.jpからの転載です)

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