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小惑星をナノファイバー製の網で包み、スペースコロニーに–米研究者が構想

2022.12.15 13:38

CNET Japan

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 ニューヨーク州にあるロチェスター大学の科学者らが、小惑星を回転させて人工的に重力を生み出し、宇宙都市にする構想を打ち出した。この「大胆な理論上」の研究論文は、1月に学術誌「Frontiers in Astronomy and Space Sciences」で公開されている。

 「われわれの論文は、科学とSFの境界線上にある」と、論文の共著者であるAdam Frank氏は、ロチェスター大学が米国時間12月8日に発表した声明で述べている同氏は同大学で物理学および天文学の教授を務めている。

小惑星の内側にある都市を示したイラスト(出典:University of Rochester illustration/Michael Osadciw)
小惑星の内側にある都市を示したイラスト(出典:University of Rochester illustration/Michael Osadciw)

 この小惑星都市は、「オニール・シリンダー」(物理学者のGerard O’Neill氏が1970年代に提案した、回転するスペースコロニー)と呼ばれるアイデアを基本概念にしており、小惑星を回転させることで人工的に重力を生み出すという。映画「インターステラー」に出てくるシリンダー型のスペースコロニー、クーパーステーションをイメージするといいだろう。これは実に興味深いアイデアだが、巨大スケールのオニール・シリンダーを建設するのに必要な資材を宇宙に輸送するのは困難で、費用もかかるはずだ。

 そこで、ロチェスター大学の研究チームはさらに大胆な方法を提案している。薄くて強度の高い、巨大なカーボンナノファイバー製の網で小惑星のがれきを囲み、円筒状の居住空間に変えるというのだ。この網は、アコーデオンのような構造になるという。

がれきやデブリでできている小惑星の好例がベンヌだ(出典:NASA/Goddard/University of Arizona)
がれきやデブリでできている小惑星の好例がベンヌだ(出典:NASA/Goddard/University of Arizona)

 荒唐無稽な話のように思われるかもしれないが、Frank氏によれば、この小惑星都市を建設するための技術や工学は、物理の法則に従っているという。「われわれの計算に基づけば、直径300m(アメリカンフットボールのフィールドを数個並べたほどの長さ)の小惑星をこのやり方で拡張することで、約22平方マイル(約57平方km)の居住環境を生み出せる。これはマンハッタンとほぼ同じ面積だ」(Frank氏)

(この記事はCNET Japanからの転載です)

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