ニュース
徳島大の学生グループ、自作エンジン搭載のロケット打ち上げ成功
2022.09.30 12:29
2014年からロケットの開発に取り組んできた徳島大学の学生グループが、初めて自作エンジンを搭載したロケットの打ち上げに成功した。到達した高さは約350メートル。メンバーは「いずれは高度10キロ以上の成層圏へ」と更なる改良に意欲を燃やしている。
27日にあった徳島大学の定例会見で、「徳島大学ロケットプロジェクト」代表の永見美空さん(21)と燃焼班の小澤俊吾さん(22)=ともに理工学部3年=が発表した。グループの現メンバーは1~4年生の41人。
グループは18年11月に自作エンジンの設計を始めた。それまでは既製品を使ってロケットの開発をしていた。機械メーカーの協力を得て19年10月にエンジンを製作。翌月に1回目の燃焼実験をしたが、そのときは失敗だった。
その後、燃料を工夫するなどの改良を重ね、20年11月~今年5月に5回の燃焼実験に成功した。そして、9月12~16日に和歌山市であった他大学との共同打ち上げ実験で、自作エンジンによる打ち上げを成し遂げた。全国の大学では6番目の成功だという。
ロケットは長さ153センチで重さ6・9キロ。高度約350メートルに達するとパラシュートが無事に開き、発射台近くの想定範囲内に落下し、回収もできた。
永見さんは「今回の実験成功は、成層圏到達と自作エンジンの製品化という大目標への準備段階に過ぎない」と気を引き締めた。小澤さんは「私たちのロケット造りの経験やノウハウが、他のものづくりにも生かせると思う」と語った。
グループは今後も実験を繰り返す考えだが、ロケット1基を造るのに少なくとも5万~7万円が必要になるため、近く製作費を大学支援機構(徳島市)のクラウドファンディング「Otsucle(おつくる)」で募る予定だ。燃焼実験や発射実験ができる場所の確保にも苦労しており、「徳島の活性化につなげるため、場所の提供などの協力をしていただければ」と呼びかけている。(東孝司)
(この記事は朝日新聞デジタルに2022年9月29日10時30分に掲載された記事の転載です)