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学生が資金調達から開発、運用までを担うキューブサット運用開始–九工大
2022.09.02 14:27
九州工業大学は、同大学の学生プロジェクトチーム「九工大衛星開発プロジェクト」が製作したキューブサット「FUTABA(ふたば)」が宇宙空間への放出に成功し、運用を始めたと発表した。
プロジェクトは、衛星の開発から運用までのほか、資金調達や組織運営などすべてを学生自身が行う取り組み。FUTABAの開発は2017年に開始し、40人の学生が参加してきた。必要な資金は、企業などからの支援に加え、クラウドファンディングも活用して集めた。
2021年1月に完成したFUTABAは、2022年7月15日にSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」ロケットで打ち上げられ、7月17日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着。そして、ISSの日本実験棟「きぼう」から8月12日に放出された。衛星開発プロジェクトは、8月13日にFUTABAからの電波を受信し、正常に機能していることを確認したという。
FUTABAは、サイズが100mm×100mm×113.5mm、質量が1050g。最大高度418kmの円軌道で、地球を約90分かけて周回している。
今後、FUTABAを運用し、宇宙で使用する機器の障害原因となる鉛フリーはんだの「ウィスカ」(結晶の表面からその外側に向けてヒゲ状に成長した結晶)に関する検証実験と、地磁気と電磁石を用いて人工衛星の姿勢を制御する装置「磁気トルカ」の検証という、2つのミッションを進める。
FUTABAの運用は2023年8月に終え、大気圏に突入させて処分する計画。