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将来宇宙輸送システムとJAXA、「スペースプレーン」の設計や製造を共同で研究

2025.07.10 16:00

UchuBizスタッフ

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 将来宇宙輸送システム(Innovative Space Carrier:ISC、東京都中央区)は「水平着陸式」の宇宙輸送システムでの機体について宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で研究する。7月9日に発表した。

 水平着陸式は滑走路に着陸することから運用コストや整備性で大きな優位性があると考えられており、将来的には有力な選択肢であると説明する。一方で機体の熱負荷増大、タイルなどの耐熱材、翼自体の重量増加、飛行制御の複雑性など技術的課題も少なくないと指摘する。そのため、機体の軽量化や熱負荷低減、飛行制御などをバランスよく設計することが重要としている。

 共同研究では、ISCが構想する水平着陸式宇宙輸送システム(スペースプレーン)をベースに、JAXAが保有する有翼宇宙機の設計解析技術を活用して、軽量機体の設計・製造技術の具体化を目指す。

 ISCは2040年代を目標に、高度400km程度の地球低軌道(LEO)に10トンの貨物(ペイロード)投入能力、50人程度の人員や物資を輸送する能力がある「単段式宇宙往還機」(Single Stage To Orbit:SSTO)として「ASCA 3」の実現を目指している。以下はASCA 3のシステム要求。

  • ペイロード能力:高度400kmのLEOに最大10トンの物資を投入可能
  • 輸送能力:最大50人程度の人員、同等の物資輸送
  • 信頼性:航空機と同等の機体喪失確率
  • 安全性:異常発生時の安全帰還機能を搭載
  • 運用性:1日1回のターンアラウンドが可能
  • 耐久性:点検・交換を前提とした1000回以上の飛行耐性
2040年代の実現を目指すASCA 3(出典:ISC)
2040年代の実現を目指すASCA 3(出典:ISC)

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ISCプレスリリース

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