Space BD、JAXA研究開発プログラムの事業者に選定--九工大などの超小型衛星を「H3」で打ち上げ

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Space BD、JAXA研究開発プログラムの事業者に選定–九工大などの超小型衛星を「H3」で打ち上げ

2024.10.16 08:00

UchuBizスタッフ

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「産学官による輸送/超小型衛星ミッション拡充プログラム」(SMASH)の打ち上げ輸送サービス調達で打ち上げ事業者としてSpace BD(東京都中央区)が選ばれた。Space BDが10月11日に発表した。

 SMASH(SMall satellite ruSH)は、大学や企業、JAXAが連携して革新技術にも挑戦する超小型衛星を民間の飛翔機会を活用して実現するとともに、輸送サービスの多様化を促すという研究開発プログラム。超小型衛星のミッションを公募、選ばれた企業や大学はJAXAとの共同研究で超小型衛星を開発、民間の打ち上げ輸送サービスをJAXAが選定して調達する。

 SMASHでの打ち上げ輸送サービスは段階的調達スキームで選定される。選定された事業者はJAXAから打ち上げの条件が提示され、受注の意思を示した事業者の中から1社が選定される。

 Space BDは、今回の打ち上げ輸送サービス調達の基本協定を3月に締結して、今回選定された。SMASHでの「超小型衛星ミッション公募#1」で選定されている超小型衛星「VERTECS」が「H3」ロケットで2025年度を前提に打ち上げられる。

2月に打ち上げられた「H3」ロケット試験機2号機でもSpace BDは超小型衛星2機の搭載を支援したという(左、出典:JAXA)、開発中のVERTECSイメージ(右、出典:九州工業大学)
2月に打ち上げられた「H3」ロケット試験機2号機でもSpace BDは超小型衛星2機の搭載を支援したという(左、出典:JAXA)、開発中のVERTECSイメージ(右、出典:九州工業大学)

 VERTECS(Visible Extragalactic background RadiaTion Exploration by CubeSat)は九州工業大学が主導して開発するキューブサット。6Uサイズ(約10cm×20cm×30cm)に小口径の望遠鏡を搭載して、宇宙背景放射を可視光で観測することで天体形成史を解明するという。

 VERTECSプロジェクトによると、宇宙背景放射は、宇宙初期から現在までに放出された、あらゆる放射の足し合わせであり、天体形成史を解明するために重要な観測量と説明。これまでの観測から近赤外線の宇宙背景放射は既知の銀河の積算光より数倍も明るく、未知の天体の存在が示唆されているという。

 その天体の候補として、原始ブラックホールなどの宇宙初期天体や近傍宇宙の銀河ハロー浮遊星モデルなどが考案されており、これらの天体の放射スペクトルは可視光波長で大きく異なることが予想されていると解説する。VERTECSでは、可視光での多波長観測で宇宙背景放射の超過成分の起源解明を目指すとしている。

VERTECSミッションパッチ(出典:VERTECSプロジェクト)
VERTECSミッションパッチ(出典:VERTECSプロジェクト)

関連情報
Space BDプレスリリース
VERTECSウェブサイト
SMASH
SMASH超小型衛星ミッション公募#1
SMASH打ち上げ輸送サービス

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