NASA、月への貨物輸送を民間企業に委託する「CLPS」で新契約を発表へ

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NASA、月への貨物輸送を民間企業に委託する「CLPS」で新契約を発表へ

2024.08.07 08:00

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米航空宇宙局(NASA)は科学機器や探査車などの貨物(ペイロード)の月への輸送を民間企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services:CLPS)」を進めているが、その新しいものを近々発表することが明かされた。海外メディアのSpaceNewsが報じた

 CLPSでは、NASAが資金を出して、民間企業に月着陸船(ランダー)の開発を依頼、選定された企業はランダーを開発するとともに、NASAが委託したペイロードを月に輸送するという枠組みとなっている。

 直近のタスクオーダー「CS-3」では、2023年3月にFirefly Aerospaceが選ばれた。同社のランダー「Blue Ghost」は、NASAからのペイロード「LuSEE-Night」「User Terminal」などを月の裏側に運ぶ計画だ。

 米国時間8月1日に開催されたイベントのパネルディスカッションにCLPSプログラムのマネージャーを務めるChris Culbert氏が登壇。タスクオーダー「CP-21」と「CP-22」に言及した。

 CP-21は月にある「Gruithuisen Domes」と呼ばれる地形に、CP-22は月の南極に、それぞれペイロードを運ぶ予定となっている。NASAはこれまで、CP-21とCP-22の企業選定を延期していた。

 「前回のタスクオーダー以来、大幅な遅れが出ている。その理由の一部は(PeregrineやIM-1といったミッション)からの教訓によるものだ」とCulbert氏は言及。「最新のタスクオーダーに変更を加えたかった。CP-22の発注に非常に近づいており、2024年末までにCP-21が続く予定だ」

 「Peregrine」はAstrobotic Technologyが、「IM-1」はIntuitive MachinesがCLPSの枠組みで進められたミッション(タスクオーダーはPeregrineが「2-AB」、IM-1が「O2-IM-1」、IM-1は世界で初めて民間企業による月着陸を成功させている)。

 CLPSでは、ランダーの設計や開発、製造が米国内で半分以上進められることが法律で求められている。そのために、民間月探査プログラム「HAKUTO-R」を進める日本のispaceは、米Charles Stark Draper Laboratoryを筆頭にした企業グループ「Team Draper」に加わっている。

 NASAが先日計画の中止を発表した、月で水資源を探すローバー「VIPER」もCLPSとして、Astroboticがランダー「Griffin-1」に載せて2025年に打ち上げる予定だった。

(出典:NASA)
(出典:NASA)

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