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BULLとJAXAが共創–宇宙ゴミ拡散防止装置をイプシロンSロケットに搭載
2024.06.21 15:00
大気圏への再突入技術を生かした宇宙利用サービスの提供を目指すBULL(栃木県宇都宮市)は6月21日、宇宙ゴミ(スペースデブリ)対策について宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共創活動を開始したことを発表した。JAXAの新事業創出プログラム「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC)の枠組みで進める。
今回の共創活動は、BULLが開発する「PMD」装置を「イプシロンS」ロケットに搭載して、衛星分離後に軌道上に残置されるロケットの第2段(上段)をPMD装置で早期に軌道から除去できるかどうかを検討する。PMD(Post Mission Disposal)は、運用が終了した物体を軌道から離脱させることが目的。
BULLとJAXAは、大気対抗を主として使用されたPMD装置をイプシロンSに搭載するための設計条件の整理、実際に搭載する場合を想定した運用シーケンスの検討、インターフェースの調整、安全対策などを検討する。
JAXAは、基幹ロケットの高度化研究の一環として、軌道上に残置してしまうロケット上段部のデブリ化抑制に向けた検討を進めており、今回の共創活動を通して、ロケットの開発や運用で培った知見を提供し、イプシロンSにPMD装置を搭載する場合の要求事項やインターフェース条件を検討する。
今回のコンセプト共創でイプシロンSをモデルケースに具体的な搭載条件や運用内容が整理されることでPMD装置のロケット搭載に向けた道筋を明確にするという。今後急速な増加が予測される地球低軌道(LEO)でのデブリ発生を抑制させるために、ミッション終了後のロケットとその残骸を減らし、デブリ同士の衝突リスクを低下させることができると説明する。
デブリ対策の技術を実証するために打ち上げられた衛星「ADRAS-J」の対象であるデブリは、2009年に打ち上げられたロケット「H-IIA」の上段。