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ispace米子会社などの「商業月面輸送サービス」提案、NASAが採択
2022.07.25 17:03
ispace(東京都中央区)は7月25日、同社の子会社であるispace technologies U.S.(ispace U.S.)がCharles Stark Draper Laboratory(マサチューセッツ州)らとともに、米航空宇宙局(NASA)に商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services:CLPS)を提案し、その提案が採択されたと発表した。
CLPSへの提案は、Charles Stark Draper Laboratoryが契約主体となり、ispace U.S.のほか、General Atomics Electromagnetic Systems、Karman Space & Defenseの子会社であるSystima Technologiesが参加している。
提案が採択されたことでCharles Stark Draper Laboratoryのチームとして、7300万ドルの売上総額を獲得。2機のリレー衛星を月周回軌道に投入し、一連の科学実験機器を含むペイロードを月面へと輸送するという。
同契約はNASAのCLPSタスクオーダーCP-12の達成を目指すものであり、2025年に打ち上げて月面での運用を開始する予定。主契約者であるCharles Stark Draper Laboratoryが、NASAの月へのペイロードを運ぶプロバイダーに選定された際には、同社が月着陸船(ランダー)の設計などの役割を担うという。
同社はこれまで、月資源に関するNASAの2つの商取引プログラムに採択されている。1つ目のプログラムでは、ミッション1でシリーズ1ランダーを使用して、月のレゴリスを採取することを予定。
2つ目のプログラムでは、ispace EUROPE S.A.と連携し、ミッション2で使用する月面探査車(ローバー)を使用して、レゴリスの採取を予定する。ミッション1とミッション2は、いずれも月探査ミッションを統括するプログラム「HAKUTO-R」として実行するものとなる。
現在、ミッション1とミッション2の開発を進めており、ミッション1で使用予定のシリーズ1ランダーは、フロリダ州ケープカナベラルからSpace Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」を利用し、早ければ11月に打ち上げられる予定。現在、ドイツでフライトモデルの最終環境試験が行われている。
今回の提案で月への輸送サービスを行うシリーズ2ランダーは、ispace U.S.が米国で設計、製造し、米国から打ち上げられる予定となっている。シリーズ2ランダーは、ミッション1と2で使用予定のシリーズ1ランダーの開発経験を生かしつつ、ペイロード容量を増加。月面と月周回軌道のどちらにもペイロードを輸送することが可能な設計という。