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JAXAなど、「だいち2号」データなどで森林管理を効率化–手引きを公開
2024.02.21 07:30
国立研究開発法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と森林研究・整備機構 森林総合研究所(Forestry and Forest Products Research Institute:FFPRI)、茨城県は陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)のデータを利用して、森林伐採を検知する方法と「森林クラウド」で利用する方法の手引きを作成、公開した。2月20日に発表した。
森林を伐採するには、市町村に「伐採届」を提出することが森林法で義務付けられている。森林管理行政では、伐採届通りに適切に伐採しているかどうかを市町村職員が現地で確認する必要があるが、職員の負担となっているという。
現在、地方自治体では、森林の情報をインターネットで共有する森林クラウドの導入が進んでいる。森林クラウドは、森林計画図や空中写真などの情報を都道府県や市町村の職員、林業関係者で共有できる。
森林クラウドに衛星データから検知した伐採地情報(伐採検知情報)を追加することで、伐採届などの行政情報と突き合わせが容易になり、現地調査の負担の軽減が期待できるという。届け出のない伐採地を早期に特定できることも期待されている。
JAXAとFFPRIは2018年5月に基本協定を締結、2021年1月には茨城県を加えた三者で連携協力協定を締結し、ALOS-2を利用した伐採検知技術を検討するとともに精度を検証、利用実証も進めてきた。
こうした取り組みから、ALOS-2で得られた伐採検知情報が地方自治体の森林管理で有効に活用されることが分かってきたという。成果を取りまとめて、公開した。手引きの主な内容は以下の通り。
- ALOS-2のデータを利用した伐採検知処理の推奨手順(森林クラウド事業者の利用を想定)
- 伐採検知情報を森林クラウドで利用する推奨手順(地方自治体職員の利用を想定)
- 届出のない伐採検知箇所を対象とした現地確認の推奨手順(地方自治体職員の利用を想定)
- 茨城県での利用実証で市町村による伐採検知情報の利用結果
茨城県では、伐採検知情報を活用し、伐採届の確認作業を効率化するとともに、伐採者への指導に向けて検証を進めていると説明。公開された手引きと茨城県の検証を参考にして、衛星データを利用した伐採検知の技術が他の地方自治体でも広く利用され、森林管理の効率化に貢献することを期待しているという。
関連リンク
JAXAプレスリリース
手引き