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中国版スターリンクへ前進–天兵科技が「Falcon 9」対抗ロケット開発で数億元を追加調達

2023.11.02 16:15

塚本直樹

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 中国で商業ロケット開発を手掛ける天兵科技(Space Pioneer)は10月25日、2024年の打ち上げを予定する大型ロケット「天龍3号」の開発で数億元(1億元は約20億円)を調達すると発表した。

(出典:Space Pioneer)

 天兵科技は中国で初めて液体燃料ロケットの軌道投入に成功した企業で、設立から4年間ですでに30億元(約620億円)以上を調達している。

 同社が開発を進めている天龍3号は、2段式の新型液体燃料ロケットだ。全長は71m、直径は3.8m。地球低軌道(LEO)に17トン、太陽同期軌道(SSO)に14トンを打ち上げられる。これは、LEOに22.8トンを投入できるSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」に匹敵する性能だ。

 さらに、第1段の再使用も可能で、1度に30以上の衛星を打ち上げる能力も持つ。こうした特徴から「低コスト、高信頼性、高頻度」のニーズを満たすロケットとなる計画で、Starlinkに対抗する中国独自の衛星インターネット構築にも使用される見通しだ。

 Space Pioneerは天龍3号の初打ち上げから3年以内に、年間30回のミッション実施を目指している。また同社は、中国北西部にある甘粛省の酒泉衛星発射センターに天龍3号の発射場を建設する予定だ。

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Space Pioneer(QQ)

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