地理情報サービス「天地人コンパス」、AIが質問を答える機能を搭載

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地理情報サービス「天地人コンパス」、AIが質問を答える機能を搭載

2023.11.01 13:54

飯塚直

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 JAXAベンチャーである天地人(東京都中央区)は11月1日、ウェブベースの地理情報システム(Geographic Information System:GIS)である「天地人コンパス」に人工知能(AI)が質問に答えてくれる機能「Compass AI on Azure」を期間限定で搭載すると発表した。

 Compass AI on Azureは、クラウドサービス「Azure OpenAI Service」を活用した機能であり、ビジネスでの活用を想定。料金は無料。提供期間は2024年3月31日までを予定する。同社の「note」で参考例も公開している。

 Compass AI on Azure機能搭載版天地人コンパスはアカウント情報として

E-mail:dummy-user@test.co.jp
Password:Aka_akiga3Ao_akiGa3Ki_iga3

を入力することで利用できる。

 天地人コンパスは、地球観測衛星のビッグデータをはじめとするさまざまなデータをもとに解析、可視化、データを提供する土地評価サービス。農業から都市開発まで、さまざまな目的に合わせたカスタマイズに対応し、最適な土地を宇宙から見つけることができるという。

 今回、期間限定で提供するCompass AI on Azureでは、「ChatGPT」を活用して、天地人コンパスに蓄積された宇宙ビッグデータを検索できる。例えば、「東京駅の今日の気温は?」という質問に対し、宇宙ビッグデータからピンポイントで気温を提供する。天地人によると、ChatGPTが学習していない宇宙ビッグデータを、ChatGPTで呼び出せる珍しい仕様になるという。

 Compass AIは、宇宙ビッグデータや対話型AIといった天地人コンパスの最新技術について、夏休みの自由研究での活用に絞り、子供へと提供していたが、Compass AI on Azureではビジネスでの利用を想定。

 例えば、「渋谷区にあるイタリアンレストランが日替わりメニューの提供を検討」するといった場合、「明日の渋谷の1時間ごとの気温の予報値を教えて」や「明日の渋谷の1時間ごとの日射量の予報値を教えて」と質問をすることで、明日の気温と日射量の予報値が調べられる。

 こうしたデータをもとに「実は渋谷でイタリアンのお店を経営していて、明日の気温と日射量にあわせたメニューを提供したいと思っているんだけど、明日は時間帯ごとにどんなメニューが売れそうかな」というような質問をすることでCompass AI on Azureがメニューなどを提案。メニューの名前などもアイデア出しが可能だという。

 これまで、天地人コンパスは、「宇宙ビッグデータ米」プロジェクトやキャンプ場候補地を宇宙から衛星で探すプロジェクト、複数の土地の類似性を気象の観点から評価するプロジェクトなどに活用されてきた。

 衛星から撮影した画像は代表的な衛星データではあるが、天地人コンパスは、降水量などの気象情報や3Dマップに代表される地形情報、赤外線で観測される地表面温度なども世界中のあらゆる場所で取得できる。所有する地上データや実績データなどを重ね合わせて、複合的に分析することもできる。

 天地人によると、Compass AIは、天地人コンパスの新たなニーズを探る目的もあり、今後の機能追加や新サービス開発になどに生かしていくとしている。

Compass AI on Azure機能搭載版天地人コンパスの画面(出典:天地人)
Compass AI on Azure機能搭載版天地人コンパスの画面(出典:天地人)

関連リンク
天地人プレスリリース
天地人コンパス
Compass AI on Azure機能搭載版天地人コンパス

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