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アクセルスペース、小型衛星の開発から運用までをパッケージ化したサービス発表
2022.04.28 08:00
アクセルスペースは4月26日、精密加工などを手掛ける由紀ホールディングス(東京都中央区)やファクトリーオートメーション(FA)や金型部品開発などを手掛けるミスミグループ(東京都文京区)などとともに、新サービス「AxelLiner(アクセルライナー)」に着手したことを明らかにした。AxelLinerは小型衛星量産体制を実現するエコシステムとビジネスモデルとしている。
アクセルスペースは2021年から経済産業省の助成を受け、日本初となる小型衛星の量産体制構築を進めてきたが、同社代表取締役 最高経営責任者(CEO) 中村友哉氏は「今後増加する小型衛星を踏まえると、ものづくりの考え方を変えなければならない。それが『Axelspace 3.0』として(AxelLinerを)サービス化する理由」と新サービスを展開する背景を語った。
同社は企業需要に応じて小型衛星を製造、提供する「宇宙機製造アライアンス」を前述した2社と締結し、衛星を核とした宇宙ビジネスの拡充を図る。また、AxelLinerを通じて衛星の製造を「既存費用の半額以下を目指す」(中村氏)
顧客と一緒に考えることで短期間かつ低コスト
8月で14年目を迎えるアクセルスペースは創業期から小型衛星の開発と運用に携わり、2015年から衛星が取得したデータ提供を主体するデータビジネス「AxelGlobe」の展開に着手した。AxelGlobeは現時点で5機体制の衛星コンステレーションを構成。2022年末にロシアのSoyuz-2による打ち上げで9機体制を目指していたが、「昨今のウクライナ情勢で2023年中の打ち上げを予定している」(中村氏)という。
同社は特定企業専用の衛星ビジネスを「Axelspace 1.0」、前述したデータビジネスを「Axelspace 2.0」、今回のAxelLinerを「Axelspace 3.0」と定義付けている。2月には経済産業省も「超小型衛星コンステレーション技術開発実証事業」の公募を開始するなど、官民の動きが活発化しつつあるからだ。
同社によれば、従来の衛星開発は衛星を活用するユーザーである企業や団体の需要に応じたフルスクラッチだったが、当然ながらコストも時間も要し、「社内エンジニアもフルスクラッチ開発に取られ、他の案件を並列して受注するのは難しい」(中村氏)
そこで同社は汎用の衛星システムを定義し、社内外のメンバーで構成した「ミッション実現チーム」がユーザーの需要を分析。「顧客と一緒に(必要な小型衛星を)考えることで、短期間かつ低コスト(開発)が実現」(中村氏)させるのがAxelLinerの目指す方向性としている。
AxelLinerは前述した小型衛星汎用バスシステムに加えて、自動運用システム、衛星製造システムの三要素で構成される。アクセルスペースが打ち上げた地球観測衛星「GRUS(グルース)」5機による衛星コンステレーションで構成したAxelGlobeサービスの知見を応用し、衛星の24時間365日運用や管制、監視の自動化を担うのが自動運用システムである。