ガーミン、シリーズ最小の衛星通信端末「inReach Messenger」発売--Iridium活用

ニュース

ガーミン、シリーズ最小の衛星通信端末を発売–圏外でもIridiumで位置情報を共有

2023.08.04 16:46

飯塚直

facebook X(旧Twitter) line

 ガーミンジャパン(埼玉県富士見市)は8月3日、衛星通信端末「inReach」シリーズの最小モデルという「inReach Messenger」の発売を開始したと発表した。税込価格は4万2900円。

 inReachシリーズは、約70機で全地球を100%カバーできるというIridiumの衛星コンステレーションを活用した通信機能を備え、携帯電波の届かない場所でも位置情報を共有できるという。Iridiumは、高度800km以下の低軌道を周回しており、通信速度が速く、70機でカバーすることで、9分間隔で衛星が入れ替わるという精密度が特徴としている。

 稼働時間は10分間隔のトラッキングで最大28日間。inReach Messengerのサイズは7.8×6.4×2.3cm、重量は113.9g。

inReach Messenger(出典:ガーミン)
inReach Messenger(出典:ガーミン)

 同シリーズは、Wi-Fiや携帯電話ネットワーク、衛星ネットワークを自動で切り替えることでシームレスに接続できると説明。衛星通信量も抑えられるという。

 位置情報共有やテキストメッセージ送受信の機能があり、緊急時のSOS発信機能も搭載。位置情報の共有では、「Map Share」機能を使い、初期設定で10分おきに位置情報を発信し、任意の相手に位置情報が伝えられるとしている。

 メールやSMSで位置情報とともにテキストメッセージも送信可能。同期済みのスマートフォンを利用し、専用アプリ「Garmin Messenger」を利用する。グループメッセージの送信にも対応する。

 届いたメッセージは、本体に搭載した半透過型モノクロ画面(176ピクセル)で確認できる。グループ登山時の仲間、ソロ活動時のバックアップチーム、家にいる家族や友人との位置情報を含む双方向連絡手段として活用できるとメリットを説明している。

(左から)インタラクティブSOSアラート、メッセージ送信、位置情報共有、天気予報、リバース充電(出典:ガーミン)
(左から)インタラクティブSOSアラート、メッセージ送信、位置情報共有、天気予報、リバース充電(出典:ガーミン)

 緊急時は、ボタンひとつでSOSを発信でき、GARMINの応答センターが世界中どこでも24時間365日で対応。国内であれば、状況に応じて消防署や警察署、山岳救助隊、海上保安庁などに救助を要請する。救助要請後も常につながり、メッセージ通信を通じて逐次状況確認が入るという。

 SOSの発信機能を含めたライブ追跡やメッセージ送受信の利用には、Iridium衛星ネットワークへのアクセスが必要なため、衛星通信サブスクリプションへの契約が必要。年間プランのほか、1カ月単位での利用が可能な「自由プラン」は、月額約15ドル~(別途機能利用で加算あり)で3プランを用意する。

Iridiumのサービスのサブスクリプションは、自由と年間の2つを選択できる。自由プランは月ごとの契約であり、使用しない場合はサービスを停止できる(出典:ガーミン)
Iridiumのサービスのサブスクリプションは、自由と年間の2つを選択できる。自由プランは月ごとの契約であり、使用しない場合はサービスを停止できる(出典:ガーミン)
Iridiumのサービスメニューは3つ。日本の場合、10%の消費税が別途加算される(出典:ガーミン)
Iridiumのサービスメニューは3つ。日本の場合、10%の消費税が別途加算される(出典:ガーミン)

 近年の登山人気などで事故や遭難が増加しているが、ガーミンジャパンによると、大事に至るケースとして、道に迷い山岳道などから外れた際に「携帯電波が入らない」、事故などで「スマートフォンが壊れた」などが要因となって、外部との連絡が途絶えて捜索が滞る状況が挙げられるという。

 北海道では電波の圏外エリアが多く、全国を見ても、すべての登山道で電波があるわけではなく、遭難事故の約2割はスマートフォンが使用不可になっているとのデータも示している。

関連リンク
ガーミンジャパンプレスリリース
inReach Messenger詳細
衛星通信サブスクリプション

Related Articles